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page38

FLOW No.97

歴史資料を駆使して構想
卒業設計コンクール入選

摂南大学大学院 社会開発工学専攻 博士前期課程1年

天野 愛希さん

「キラリ*Josho note」のページ38は、摂南大学の天野 愛希さんです。今回も常翔学園のキャンパスでキラリと輝く学生を紹介します。

リサーチ力とデータ分析力で 街の魅力を引き出す提案に挑戦

突然送られてきた1通のメール。「第75回日本建築学会近畿支部 卒業設計コンクールにご応募頂きました作品は審査の結果、入選と決まりました」。これまで何人もの先輩がチャレンジし涙をのんだコンクールに初入選するという快挙を成し遂げた瞬間でした。名古屋市内で育ち、子供の頃から不動産物件のチラシ広告を見ては、部屋の間取りや家具などを想像して書き込む事が好きだったと言います。中学・高校と在籍した女子校では、友人の多くが医療系学部を志望する中、「周りに流されず自分の道を歩みたい」と建築学科を選びました。

摂南大建築学科の授業はどれも楽しく、苦手科目は無かったと言います。課題制作に追われる中でも自分の力作をプレゼンする機会や、賞の獲得を常に目標にしてきました。卒業研究では地元の「名古屋の魅力を伝えたい」と頭を悩ませていたところ、江戸末期に書かれた尾張名所図会に出会います。そこで名古屋の産業や文化を支えた水運「堀川」の歴史的価値を再認識し、現在の堀川の河岸空間を広場にすることで、かつての繁栄を復活させるという都市空間再編プロジェクトを提案したのです。卒業研究では誰もがダイナミックでデザイン性の高い建築作品を提案する中で、天野さんの提案は「地味」「分かりにくい」といった評価も受けましたが、コンクールでは<再現すべき産業モデルとその建築順序を計画し、さらに水上交通などのイベントや、河口の木場との広域連携へと構想を展開していくストーリーは、人々が集まる動機をも創り出しており秀逸>と高く評価され、入選を勝ち取ったのです。

建物だけでは街はできないということに目覚めた天野さんは、街づくりについて勉強したいという気持ちが強くなり大学院に進学。コンクールでも評価されたデータに基づいた提案力や分析力に更に磨きをかける努力をしています。「インターネットでさまざまなデータを見ると街づくりのアイデアや 建築物が次々と頭に浮かんできます」。今は大学のある寝屋川市がかつて工場地帯であったことから、工場で使われるパレットを再利用し、寝屋川らしい素材を生かした商店街の美化と緑化を図る提案にも取り組んでいます。将来は、リサーチ力とデータ分析力を生かし、建物を建てる上でのメリットやデ メリットなどの調査に携わり、説得力を持った提案ができる建築家になることを目指しています。「大学院の間に大阪の名所図会をひもといて、大阪の魅力を引き出す提案もします」と力強く話す姿がキラリ光ります。

尾張名所図会(右奥)と卒業設計作品

キラリ*Josho note