進学か就職か。進路に悩む藤島さんの心を決めたのは１本の電話でした。昨年度の学外実習先である環境の調査・分析・コンサルティングを行う帝人エコ・サイエンスから、ぜひ入社してほしいとの話があったのです。実習時は就職よりも知識を増やすことや経験値を上げることに専念していた藤島さんは思わず「どうして僕なのですか」とたずねてしまったと苦笑します。「分からないことはとことん調べるなどして疑問を解消する積極的な姿勢を高く評価した」という返事を受け、藤島さんは「この会社で、環境を守っていきたい」と就職を決めました。　

幼い頃から生き物や自然豊かな場所が好きな藤島さんにとって環境保全は大きな関心事で、卒業研究では、テトラブロモビスフェノールA（TBBPA）が脂肪前駆細胞へ及ぼす影響について調べています。TBBPA はプラスチック製品などに含まれる難燃剤ですが、ヒトの脂肪前駆細胞を刺激し脂肪細胞を増大させてしまうおそれがあるとされています。このような物質の影響や大気や水の汚染状況を調査・分析することで、人間だけでなく他の動物や植物が豊かに暮らせる社会を築き、次の世代につなげ、環境を守っていきたいと藤島さんは熱を込めます。

学業や研究に熱心な姿勢は、小野奨学会成績優秀者制度において２年連続認定されるという形でも現れました。同制度は小野奨学生約１２００人のうちわずか２％程度の学生しか認定されないもので、通常の奨学金とは別に報奨金が給付されます。実は藤島さん、「せっかくならば」と受給開始時から同制度を目標にしていました。しかも、３年生から４年生の前期まで、履修した科目の成績評価は全て最も高いA 評価。「認定証とともにA が並んだ成績表を手にした時は誇らしかったです」と胸を張ります。

そんな藤島さんは、就職後を見据えて今秋、甲種危険物取扱者の資格を取得しました。危険物取扱者試験の中では最難関の試験ですが、仕事をする上でも必要となるため在学中の合格を目標としてきました。残りの学生生活では、趣味のクラシックギターにも時間を割くつもりにしており「せっかくなら音楽も理論的に学びたいという気持ちが最近芽生えてきました。好きなことはとことん勉強したい性格なのでしょうね」。学業にも趣味にも探究心あふれる姿がキラリ光ります。