今秋、日本初女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」が開幕します。加盟11クラブの中で、井上さんはノジマステラ神奈川相模原(神奈川県相模原市)に2月から所属し、摂南大に籍を置きながらトップリーグのプロ選手として歩み始めました。
子供の頃から外で遊ぶことが大好きだった井上さんは、兄2人(1人は現在J2ブラウブリッツ秋田の選手)の影響で5歳からジュニアサッカーチームに入り、男子選手に交じって練習する毎日に。中学1年からは日本女子サッカーリーグ(なでしこリーグ)のセレッソ大阪堺レディースに入団し、ボランチ(MF)として活躍しました。U17の日本代表にも選出され、国際大会でアメリカ、イングランド、韓国と戦い、得点も決めました。小柄な体格ですが、ボールのキープ力に長け、スルーパスやアシストでのゲームメイクを得意とするテクニック派です。2月からノジマステラ神奈川相模原に移籍し、晴れてプロ選手に。「楽しんでいたら実力も伴っていました。嫌なことがあっても寝たら忘れます」という前向きな性格でチームに溶け込んでいます。
摂南大では外国語学科でスペイン語を専攻する井上さん。きっかけは「女子サッカーの環境が充実したスペインのプロリーグに入りたかったから」と言います。大学1、2年では授業の課題が非常に多く、授業が終わるとサッカーの練習に行き、夜帰宅して課題を行い、寝るのは深夜というハードな毎日でした。3年からジェンダー問題を専門とするゼミに所属し、「スポーツ界の男女格差」を卒論テーマに選びました。神奈川でチームメートらと選手寮で一人暮らしする今は、オンラインで授業に参加。「プロリーグの有無や年棒格差など、サッカー界での自分の体験も交えた卒論をまとめたいです」と意欲的です。卒論の準備やプロ選手としてのプレッシャーもありますが、「今はより良い環境でサッカーのできる楽しさしか感じません」と言う井上さん。次の目標は日本代表に選ばれることですが、そのためには「アシストだけでなくゴールを1点でも多く決めて目立つことが重要」と練習にも力が入ります。日本の女子サッカーを盛り上げたいという熱い思いがキラ リ光ります。