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FLOW No.94

夢はトップアスリートを支える義肢装具士

広島国際大学 リハビリテーション支援学科 義肢装具学専攻4年

中村 颯希さん

「キラリ*Josho note」のページ36は、広島国際大学の中村 颯希さんです。今回も常翔学園のキャンパスでキラリと輝く学生を紹介します。

パラ水泳選手のトレーニング用具開発に挑戦

4歳の頃から水泳を習い始め、小学5年で本格的に力を入れた中村さん。「高校時代は、大会に出場したり合宿に参加したことが思い出です」と振り返ります。もともと医療分野やスポーツトレーナーの仕事を志していましたが、モノづくりにも興味を持っていました。理学療法士や臨床工学技士も視野に入れて進路選択を考え、最終的には医療・スポーツ・モノづくりの3つの分野に関わることができる義肢装具士の道へ。広島国際大に進学してからは得意の水泳スキルを生かし、ライフセービング部員として海水浴場の監視などを行ってきました。

義肢装具学専攻では、1年から機器や義肢装具の基礎を学ぶ工作演習で実践的な技術を学びます。製作する装具のベルトは工業用ミシンで縫製しますが、家庭用ミシンとは桁違いの速さとパワーがあり、手先の器用さが求められます。「実は手先が不器用で、みんなより作業時間が多くかかっていました」と苦笑いする中村さんですが、3年間の製作実習や義肢装具製作会社での学外実習で工業用ミシンを長時間使い、今までよりも手先をうまく使えるようになったと言います。

卒業研究では、パラアスリートの用具開発にも携わっている谷口公友准教授の指導を受け、パラ水泳選手のトレーニング用具「パドル」の開発に取り組んでいます。担当する選手は、手の麻痺や握力の低下、胸から下の自由が効かない障害を抱えているため泳力の強化が必要です。そこで中村さんが開発している「パドル」を前腕に装着し、水をかく際に水の抵抗を受けることで筋力の強化を図り、泳力の向上を目指しました。「製作で一番苦労したのは形状です。アイデア豊富な先生からのアドバイスには目から鱗でした」と話します。最初の試作品はパドルの先端が指先に当たって痛むため、2作目、3作目と試行錯誤を繰り返しました。完成までの道のりは長いですが「開発したパドルを実際に選手が装着してトレーニングする実験を行い、効果検証を踏まえて卒業論文を仕上げることが目標です」と意欲を燃やします。

今後の目標は、まず義肢装具士として基礎的な技術を身につけて、さまざまな疾患に応じたモノづくりで、患者さんの生活をサポートすること。そのうえで、「スポーツに携わりたいという気持ちは忘れず、いつか五輪などで世界を舞台に戦うアスリートをサポートできるように頑張りたい」と決意を込めます。真面目にコツコツと積み重ねた努力がキラリ光ります。

開発しているパドルの1作目

キラリ*Josho note