「夢の原点は、中学・高校時代にある」と話す松浦さん。実家から離れた学校に入学し6年間の寮生活を経験したのですが、そこで出される食事に関心を持ちました。もっとおいしくするにはどうすれば良いのかな、自分で献立を考えてみたいな。そんな思いから管理栄養士を志すようになりました。広島国際大の評判を耳にし「ここで勉強しよう」と医療栄養学科に入学しました。
ANA クラウンプラザホテル広島と共同でヘルシースイーツの開発・発売を目指す取り組みがあると聞いたのは1年生の時で、先生や先輩からの声掛けがきっかけでした。子供の頃からお菓子作りが好きだったこともあって参加を決めましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で活動がストップ。約2年の休止を経て再開してからは、ひたすらケーキと向き合いました。低カロリー・低糖質のヘルシーケーキの2種類を開発する予定でしたが、材料や配分量を変えるものの味が落ちてしまったり、スポンジが膨らまなかったりと失敗が続きます。「ケーキを作るというよりも、何がダメだったのか原因を追究している感覚でした」。試行錯誤の末、低カロリーケーキ“ふわふわ” は生クリームにプレーンヨーグルトを加えることでコクを維持しながらも脂質を下げることに成功。また、おからパウダーと長芋パウダーを使用した低糖質のロールケーキ“雪花菜ロール” を作り上げました。「時間はかかったけれど満足いく出来になりました」と笑みを浮かべます。
この取り組みを通して松浦さんは、食べる人の「おいしい」という気持ちを第一に考えることが大切だと気付きました。それまでは「作って終わり」という感覚が拭えませんでしたが、食べた人の満足感を追求することにやりがいを見いだすようになったと言います。そのため、給食センターでの実習授業では、どうしても味付けに課題が残る減塩食でも満足して食べてもらえるよう調味料などに工夫を凝らしました。「もっとおいしくしたいという気持ちは中高生の頃から変わっていなかったということですね」と笑う松浦さん。初心を忘れず夢に向かって進む姿がキラリ光ります。