子供のころから自動車のおもちゃで遊び、道路を走る車を見て車種を当てるのが好きだったと話す根っからの「自動車好き」の宮内さん。高校では数学が得意で国語が苦手だったことから迷うことなく理系を志望。建築の道にも興味がありましたが、自動車が好きな設計士の父に影響を受け、摂南大機械工学科に進学しました。学科の新入生約120人のうち女子学生は5人。「男子学生ばかりの世界に飛び込むことに抵抗はなかったので、逆に5人もいたのが驚きでした」と振り返ります。
入学後、学科の友人に誘われて学生フォーミュラチーム「S-Racing」に仮入部。「フォーミュラ車にはまったく興味がなかった」と話す宮内さんでしたが、クルマづくりの面白さにハマっていきます。1年の10月に突然言い渡されたのは通常上級生が担当するマシンのフレーム設計。「部品設計もやったことがないのに?」と当初は戸惑い気味でしたが、初めて操作するCAD(コンピューターによる設計支援ツール)に苦戦しながらも、先輩から教わりながら徐々に技術を習得。やがて設計だけでなく溶接もこな すようになり、気が付けば完成したマシンが走ることに喜びを感じる「フォーミュラ女子」になっていました。
静岡県で開催される全日本学生フォーミュラ大会には2度出場。一昨年は締め切り間際で車検通過や規定のプログラム完了に到達できないなど悔しい思いをしましたが、昨年の大会では複合コースを20周走行するエンデュランスを完走。「求められるレベ ルは厳しく、本気でやらないと楽しくないです。チーム内で時にぶつかり合うこともありますが、それはみんなが本気でやっている証拠」と大会への思いを語る宮内さんが達成感を味わった瞬間でした。
フォーミュラ活動のほか、小学校2年生から始めてヨーロッパでも公演に参加した経験もある合唱を再開したり、「夜遅く家に帰ったあとにチーズケーキを作ったりします」と多彩な顔も持つ宮内さん。4年に進級後は切削加工の研究に取り組み、「卒業後は自分が設計した自動車が走るのを見たい」と自動車メーカーへの就職を希望しています。アクセルを踏むように加速するクルマへの情熱がキラリ輝いています。