幼少期には両親の勧めもあり、ピアノを習うなど音楽に囲まれて育った福本さんは中学で吹奏楽を始め、トロンボーンを担当しました。高校では音楽から一度離れましたが、大学入学後の新入生歓迎フェスティバルでウインドアンサンブルの和やかな雰囲気にひかれて入部しました。
入学した2021年はコロナ禍でした。部員と顔を会わせる機会が少ないまま半年が過ぎ、冬の定期演奏会では感染を拡大させないための対策を大学から求められました。演奏活動において感染対策は悩ましいものがあります。楽器を演奏する時はマスクを着用できないことや、全体の音にまとまりを出すために演奏者同士が十分な距離を空けることが難しいからです。何度も学生課と話し合い、会場は無観客、オンライン配信を条件に演奏会を実施できることになりました。大学に提出する感染対策の書類作成や、演奏会に向けた曲の選定、練習などの準備に追われ、終演後は達成感を得られたものの、無事に終わったことへの安心感のほうが強かったと振り返ります。
2年になると、専門分野に特化した授業が増え、実習や課題、試験など勉強の難易度が上がりました。その上、ウインドアンサンブルの幹部を務めることになり、忙しさが増しました。3年になると、同期と2人体制で部長も務めることになり、1年間のスケジュールや演奏会の準備、大学への提出物など、 担う業務は更に増えました。部活は全体的に見通しを立てた後、部員に指示するよう工夫し、効率的に時間を使うよう心掛けました。
幹部や部長を引き受けたことで学生生活は毎日充実し、考える力も身についたと感じています。1年の時は先生や先輩の指示に対応するだけで精いっぱいでしたが、学年が上がるにつれて、過去に対応したことを踏まえて事前に確認・準備しておくことやリスク対策を取ることができるようになりました。
来春からは希望していた土木分野の企業で専門職として社会人の一歩を踏み出します。「大学では自分で考えて行動できるようになりましたが、いつもその前段階で選択肢を与えられていたように思います。これからは選択肢も自分で見つけ、考えて主体的に動いていきたいと思います」。将来を語る表情がキラリ輝いています。