軽尾 友紀子助教

摂南大学 薬学部 薬学科

薬効を高めるフッ素を薬に組み入れる新たな試薬開発

研究最前線

FLOW No.85

軽尾 友紀子 助教
Profile

軽尾 友紀子 助教

かるお・ゆきこ 2014年金沢大学医療保健学域薬学類卒。2018年同大学院医薬保健学総合研究科博士課程薬学専攻修了。同年から現職。薬剤師。博士(薬学)。富山県出身。

有機化学を専門とする軽尾助教は、特に医薬品の合成をより簡単に行うことができる試薬や化学反応を研究してきました。昨年摂南大に着任してからは、フッ素原子を医薬品などの化合物中に組み入れる反応試薬の開発・研究を行っています。テフロン加工などで知られるフッ素ですが、薬の構造中にフッ素原子が入っていると、体内にはフッ素を代謝する酵素がないため、薬の効果が長持ちするのです。この特徴を活用して開発された医薬品もあります。

摂南大の所属研究室がフッ素原子を有する機能的な化合物の合成研究をしていたことで、「素人だった」分野にチャレンジしてみたいと研究に着手。効果的にフッ素を導入できる新しい試薬の開発でした。着手して8カ月、試行錯誤を繰り返し、「ピリジニウム塩」の構造を有する、新しいフッ素化試薬が完成しました。「誰でも簡単に取り扱えるように、固体で量り取りやすいことと、水分でべとつくような吸湿性がないものにするのに苦労しました」と振り返ります。しかも既存の安価な試薬を用いており、試薬同士を混ぜるだけで合成できるといういくつもの独自性があります。今年3月には早くもその成果を学会発表しました。今は開発した試薬とは異なる反応性や構造を有する新しいフッ素化試薬の研究に取り組んでいます。「最終的にはフッ素原子を任意の場所に入れられるような試薬や反応を開発し、抗生物質のペニシリンなどの天然に存在する生理活性物質に適用することで、フッ素 原子を入れる場所によって薬の効果にどのような違いが表れるかなどを解明したいです」と話します。

闘病する祖母を近くで見ていて「もっと病気に効く薬を作りたい」と考え、小学6年生から薬学部に進むことを決めていたという軽尾助教。今後はある薬がどのたんぱく質と結合するかを探す手法「たんぱく質のラベル化」も研究テーマの一つとして掲げています。薬の効果を予測できる研究です。「趣味よりも今は研究一筋」と新たな可能性を模索する日々が続きます。

開発した試薬
開発した試薬
学生を指導する軽尾助教
学生を指導する軽尾助教

研究最前線