山本 めぐみ助教

広島国際大学 保健医療学部 診療放射線学科

AI活用のX線画像診断で患者の負担を減らしたい

研究最前線

FLOW No.85

山本 めぐみ 助教
Profile

山本 めぐみ 助教

やまもと・めぐみ 2003年広島国際大学保健医療学部診療放射線学科卒。2008年同大学院総合人間科学研究科医療工学専攻博士後期課程修了。同大助手を経て2011年より現職。2007年日本放射線技術学会技術新人賞。2008年日本医学物理学会学術大会大会長賞。2017年と2019年日本放射線技術学会総会学術大会Bronze Award。2017年同学会秋季学術大会優秀演題賞。博士(医療工学)。福岡県出身。

X線による血管の画像検査にAI(人工知能)を活用して、診断・治療の精度を上げようと山本助教が研究に取り組み始めたのは2014年のことでしたが、これまでにその成果が学会で複数回表彰され、革新的な研究として高い評価を受けています。

血管画像の撮影には、血管内に造影剤を投入して血管を浮かび上がらせた画像から、造影剤投入前の画像を“引き算”することで血管だけを鮮明にするDSA(デジタル差分血管造影法)という方法が一般的です。しかし、 DSAには動きに弱いという難点があります。心臓などよく動く臓器では鮮明な血管画像が得にくいのです。そこで山本助教が着目したのが、ニューラルネットワークなどで注目され始めたAIの活用でした。AIに臓器の膨大な画像を学習させることで、動く臓器も認識して血管だけをより鮮明に浮かび上がらせることができると考えたのです。「パソコンのセッティングだけで半年かかりました」というほどのAIの素人だった山本助教は一念発起。「英語の論文を読んだり、研修会に参加したりしてAIを一から勉強しました」。やがてプログラミングも習得し、試行錯誤を重ねること2年。DSAに活用できる独自のプログラムを構築しました。

医療現場で使えるようになると、①検査で「20秒息を止めて」と言う必要がなくなり、高齢者の負担が軽減②造影剤投入前の撮影が不要になることで患者の被ばく量が減少③副作用のある造影剤の量の減少④放射線技師の画像修正の負担も軽減、など多くのメリットが期待できます。今は心臓以外に肝臓、脳も研究対象に広げ、実用化に向けて画像の精度を上げようとさらに臓器のデータを収集しAIに学習させるとともに、プログラムの改良に力を入れています。

臨床経験を増やし研究や教育に生かそうと東広島市内の病院で10年以上、非常勤の診療放射線技師として患者と向き合っています。「間違えると再撮影で被ばく量が増えるので、撮影は学会発表より緊張します」と言う山本助教。常に頭にあるのは「患者のために」です。

東広島キャンパスのX線実習室で
東広島キャンパスのX線実習室で

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