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東 良慶 准教授
あずま・りょうけい 2000年金沢大学工学部物質化学工学科卒。2002年京都大学大学院工学研究科環境地球工学専攻修士課程修了。2005年同博士課程修了。京都大学防災研究所21世紀COE研究員、助教などを経て、2016年から現職。博士(工学)。京都府出身。
水工学が専門の東准教授が防災・減災を研究するようになったのは、大学院時代の2004年に円山川(兵庫県豊岡市)であった堤防決壊の調査からです。「地盤工学の研究者との共同調査で災害への視野が広がりました」。東准教授の研究の一つは、空中写真や古文書から作成された治水地形分類図をもとに、水害痕跡のある場所の物理的な調査を通じて、その地形の成り立ちを解明するものです。「例えば川の近くで田んぼに囲まれた畑があれば、かつて堤防が破れて土砂が流入したことが推測できます」。そうしたデータから地形ごとの災害リスクを知れば、減災対策につながるのです。
災害の頻発化、激甚化で国の水害への基本的な考え方が防災から減災にシフトし、関係者が協働し流域全体で水害に備える流域治水へと変わりつつあります。「昔の日本人が、洪水時に下流への水量を減らすため作った遊水池や霞堤(意図的に開口部を設けた堤防)の考えに通じます」。東准教授は土木技術の発達で現代人にはリスクが見えにくくなっていると言い、リスクへの敏感さを取り戻し、しなやかに減災することの大切さを訴えます。
東准教授のもう一つの大きなテーマは港湾の開口部に設置する流起式可動防波堤の開発です。2011年の東日本大震災で港湾の水門を閉めようとして犠牲者が出たことから、操作不要で津波の力で自立する防波堤をと、奈良の水門メーカーと共同研究を始めたのです。「伝統玩具パタパタの固定方法を参考にし、台座が少々変形しても影響を受けず、津波が収まれば自然に元に戻るしなやかで優れた防波堤です」=図。既に国の港湾空港技術研究所から技術・設計マニュアルが発行され、ほぼ実大スケールの実験で動作の確認も済んでおり、社会実装まであと一歩です。



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