中山 寛尚講師

広島国際大学 保健医療学部 医療技術学科

「軸索誘導因子」を標的に小児がんの新治療法を探究

研究最前線

FLOW No.87

中山 寛尚 講師
Profile

中山 寛尚 講師

なかやま・ひろなお 2008年名古屋大学大学院医学系研究科医療技術学専攻博士後期課程修了。愛媛大学研究員などを経て、2011年から2015年まで米国ハーバード大学医学部小児病院でリサーチフェロー。2015年愛媛大学医学部生化学・分子遺伝学分野助教。2017年から現職。臨床検査技師。博士(医療技術学)。岐阜県出身。

神経細胞の成長のガイド役として知られてきたタンパク質の軸索誘導因子が、近年がん細胞の増殖や転移にも関与していることが分かってきました。中山講師はその中でもがんを増加させるネトリンとがんを抑制するセマフォリンという分子に着目。科研費に採択された研究は、小児に発症する悪性脳腫瘍である髄芽腫でのネトリンの機能を解明し、その阻害剤を探し出して新たな治療法の開発につなげようというものです。

名古屋大の卒業研究は覚せい剤の人体への影響がテーマでしたが、指導してくれた恩師によって「解決できないことを解決する」という研究の面白さに目を開かされ、研究者の道を志しました。がん研究を始めたのは愛媛大研究員の時代で、その後に日本学術振興会海外特別研究員として米国ハーバード大医学部小児病院に留学。「ハーバードの研究室には最新の機器があったわけではありませんが、アイデアを尊重し、議論が活発でオープンな環境がとても刺激的でした」と振り返ります。研究室の脳外科医と一緒に仕事をする中で、小児がんの髄芽腫が研究テーマになりました。

中山講師はこれまでの研究で、ネトリンが髄芽腫細胞の浸潤を進めることや、髄芽腫の存在を示すバイオマーカーとして有用であることなどを解明してきました。現在の研究ではそれを更に進めて、ネトリンが髄芽腫形成やがん幹細胞維持そのものにかかわっているのではということを明らかにし、治療標的にしようというものです。ネトリンとそのレセプター(受容体)がくっつくことを止めたり、くっつくことで発するシグナルを止めたりする阻害剤を見つけられれば新たな治療法につながるのです。そのためにはある化合物が阻害剤たりうるかどうか、髄芽腫細胞との正確な反応を見るスクリーニングのシステム作りが重要です。ネトリンとレセプターがくっつく際に発光する仕組みなど、臨床検査や分子生物学の技術を活用して最良の方法を模索しています。

軸索誘導因子の研究をするライバルは国内外問わず多くいますが、「がん研究についてはリードしている」と自負する中山講師。髄芽腫に苦しむ子供たちを救う挑戦が続きます。

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