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橋本 渉 教授
はしもと・わたる 1995年筑波大学第3学群工学システム学類卒。2000年同大学院工学研究科知能機能工学専攻博士課程を修了し同大機能工学系助手に。2002年大阪工業大学情報科学部情報メディア学科講師。2008年同准教授。2020年から現職。博士(工学)。兵庫県出身。
「テレワークが広まって、まさに私たちの研究の出番という思いです」と話す橋本教授は、コンピュータの情報を人間のさまざまな感覚を駆使して豊かに表現するVR(バーチャル・リアリティ)やAR(拡張現実)のスペシャリストです。
2015年に球面型没入ディスプレイ構築をサポートするシミュレータを開発し国内外の学会で注目を集めました。球面型没入ディスプレイは人間の周囲を大型の映像で覆う装置で、人があまり意識しない周辺視野を生かすことで高い臨場感や没入感が得られます。「テレワークでの会議やリモート授業も、よりリアルに出来るはずです」と話 します。開発したシミュレータは、そんな球面ディスプレイの設計時や使用時に問題となる特殊なゆがみの補正が容易にできるものです。
橋本教授がVRの分野に関心を持ったのは筑波大の学生時代でした。「まだファミコンの時代で、VRという言葉自体もあまり知られていませんでした」と振り返ります。大学4年の時に、今も続く「大学対抗手作りバーチャルリアリティコンテスト」にチームリーダーとして出場し優勝。「危険なバンジージャンプを安全に体験できるシステム」というユニークなアイデアで、「VRにのめり込むきっかけでしたが、今はあんな自由な発想は出来ませんよ」と笑います。
「人間がコンピュータとやり取りする場合は一部の視覚ばかりに頼り、人間のさまざまな感覚が100%活用されていません」と話す橋本教授は、力覚や触覚の活用の研究も。遠隔地の物体や触れると危険な物体を扱う時に効果が期待できます。ロボットアームを通じて物体を持ち上げたり押したりする感覚を得られる装置や振動モーターを活用して物の表面をなぞった時の、つるつる、ざらざらなどの感覚を再現する装置などの開発も行っています。また、歩きスマホの危険を回避できるような視線誘導の研究は始まったばかりです。
「VR技術はまだまだゲームなどのアミューズメントの分野での活用がメインです。これからは医療や教育・訓練などでも活用の場面がどんどん広がるはずです」と予測。コンピュータの情報をもっと豊かに伝えようと奮闘が続きます。









