後藤 慶次郎さん

スペクトラ・フィジックス 産業・OEMレーザー事業部 カスタマーサポート部 シニアマネージャー

天文学に憧れ高卒後に米国留学
物理の知識と英語力で世界の顧客支える

Graduate Voice 活躍する卒業生

FLOW No.99

Profile
ごとう・けいじろう 1992年大阪工業大学高校(現:常翔学園高校)卒。1996年ミネソタ州立大学卒。大学では天文学と物理学の学位を修めた。帰国後、博士課程に進むための学費を工面すべく就職活動をする中で、現在の会社に応募し入社。同社における新卒採用は後藤さんただ1人。理化学レーザー事業部サービスエンジニアを経て、2019年から現職。大阪府出身。

高校生の時、満天の星空に魅せられて天文学を学ぼうと米国留学を決意した後藤慶次郎さん。留学先では物理学も専攻し2つの学位を同時に取得しました。一時的な帰国のつもりが、世界最高峰のレーザーメーカーの日本法人に就職し、勤続年数は25年に。現在は、英語力と物理学の知識を生かし世界各国の顧客を支えています。






「米国の大学に進学する」と後藤さんが決意したのは高校2年生の時です。当時は海外の大学へ進学する生徒はめずらしく、親には反対され学校の先生には驚かれたと振り返ります。それでも粘り強く周囲を説得。その熱意の原点は、淡路島にありました。「旅先の淡路島で友人たちと見た満天の星空に強く心打たれたのです」。宇宙の謎を探究しようと天文学が学べる大学を探すも、国内では数少ない上に非常に狭き門だったため、天文学がメジャーな米国に視野を向け、留学を決意したのです。とはいえ英語が話せるわけではなかったので、単語や文法を勉強し直しました。

出国の日は友人たちが空港まで見送りに来てくれました。ともに淡路島の星空を見上げた仲間からの激励に胸が熱くなった後藤さん。「高校時代の一番の思い出は、親友と呼べる存在ができたことです」と話すだけに、卒業して20年以上が過ぎた今でも交流があります。

意気揚々と渡米したものの留学先のミネソタ州立大学ではホームシックに陥った時も。「コンビニのおにぎりに1万円出してもよいと思うくらい白米が恋しくなった」と笑います。環境に慣れてからは学業に専念。2つの学問分野を専攻し学位を取得するというダブルメジャー制度を使って、天文学の他に、学問領域が近い物理学も専攻しました。

大学の卒業式で



約4年半の留学を終え帰国した後藤さんですが、2、3年で米国へ戻って博士号を取るつもりでした。学費を工面しようと始めた就職活動で出会ったのが、スペクトラ・フィジックスです。英語でのコミュニケーションが可能で物理学の学位を持っているところを高く評価され、「新卒なのに即戦力」として入社することになりました。その後、常に時代の最先端を走り、世界トップレベルの技術力に裏打ちされた商品を開発・販売する同社に魅力を感じた後藤さん。商品に愛着が沸き「この子たち」と呼ぶまでになり、米国に戻るよりもここの製品に携わり続けたいと考えるようになりました。現在は、国内外の顧客から寄せられる機械の故障やトラブルなどに迅速かつタイムリーに応じるのが主な仕事で、一両日中の対応を原則としています。なぜなら「弊社の機器が1時間停止するだけで、何千万もの損失や社会的な影響が出る場合もあるからです」

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慌ただしい日々を送る後藤さんですが、後輩たちに伝えたいメッセージがあります。「やりたいこと、好きなことを追求してください。そのために敷かれた線路から一旦離れるのも良い経験です。自分とは別世界の人と出会って刺激を受けることで、自分の視野が広がり将来の財産につながります」。星空に魅せられ、10代で日本を飛び出した後藤さんならではの力強い言葉です。

高校時代、友人とスキー旅行で(左が後藤さん)

活躍する卒業生