摂南大にベトナムから留学中のグエン・フウ・タイさんです。はじめはかっこよさに魅かれて自動車技術を学ぼうと来日しましたが、今では電気自動車や水素自動車など環境に優しい車の素晴らしさに目覚め、いずれは都市部の大気汚染に苦しむベトナムに広めたいと考えています。グエンさんに母国の魅力や日本の生活などについて聞きました。
- Profile
-
グエン・フウ・タイ(Nguyen Huu Tai)さん
1996年、ベトナム南部のホーチミン市近郊の生まれ。高校卒業後、ベトナムの日本語学校に半年通い、2015年に日本へ。大阪で2年間日本語学校、1年間大学入試準備の専門学校で学び、2018年摂南大に入学。父はホーチミンで建設会社を経営、母はハノイでドラッグストアのチェーンを経営する。兄と妹を含めて5人家族。ベトナムでも日本でも友人からは「タイ」と呼ばれる。
日本語の勉強はいつから始めたのですか?留学先に、摂南大を選んだ理由も教えてください。
ホーチミンの高校を卒業して、ベトナムにある日本語学校で半年間学びました。ビザが取れて大阪に来てからも日本語学校で2年間学び、大学受験準備の専門学校に1年間通いました。専門学校に通っている時に、先生が摂南大を勧めてくれました。自分でもインターネットで調べていくうちに学生フォーミュラプロジェクトを見つけ、学科の勉強以外でも自動車について学ぶことができると思い受験を決めました。もちろん3年になったら学生フォーミュラのチームに入って自動車の構造や性能などを学びたいです。
来日して日本の印象は変わりましたか?
ベトナムでもテレビ放映されていた『ドラえもん』などのアニメを見たり、『ONE PIECE』など漫画を読んだりして育ったので、日本にはもともと親しみがありました。それでも来日して改めて電車の列に並ぶ日本人の規律の良さに驚きましたし、日本の四季の美しさに感動しました。特に春の桜と秋の紅葉が大好きです。京都や奈良などの古都を訪れるのも 楽しみにしています。今年は父と妹が日本に来るので、早く自動車の運転免許を取ってそうした観光スポットを案内したいです。ベトナムと比べてオートバイが少ないところも来日して驚いた点の1つです。
摂南大での学びに苦労はありますか?
機械工学科で授業を受けていると、機械類の専門用語が難しいと感じる時がありますが、学科の友人が言葉の意味などを教えてくれるのでとても助かります。一方で、数学の問題の解き方などは私がクラスメートに教えることもあり、お互いに協力して授業を受けています。私の好きな日本語「持ちつ持たれつ」のような感じですね。
大学の授業以外ではどんなことをしていますか?
大阪の道頓堀にある中華料理の全国チェーン店でアルバイトをしています。日本に来てから自炊を始めたのですが、今ではお店のほぼすべての料理を作ることができるようになりました。また、店の看板メニューの餃子作りのチェーン店コンテストで全国2位になったこともあります。お店ではキッチンだけでなくホールも担当して接客などもします。お店で摂南大の卒業生のお客さんに出会った縁で、今年は大企業のインターンシップに参加することもできそうです。また、子供のころから好きなサッカーも続けていて、今は留学生仲間のチームに入って週1回練習や試合をしています。
これからの夢を教えてください。
車の免許を取ったら、自分で運転してみて、乗る側、作る側両方の立場で自動車を研究したいです。もともとは米国映画に出てくる速くてかっこいい自動車を見て興味を持ったのですが、来日して関心の方向が変わりました。現在ベトナムは経済成長が著しいですが、反面、都市部では大気汚染などの環境問題が深刻です。日本に来て愛知県のトヨタの施設を見学し、環境に優しい車の研究が進んでいることに感心しました。今ではベトナムの環境を良くするため、電気や水素で走る環境に優しい自動車をベトナムで造って広めることが私の夢になりました。摂南大に入学する前に、10年後のベトナムを見据えて将来の計画を立てました。大学で4年、大学院で2年学んだ後、4年間日本の企業で実務経験を積んでベトナムに帰りたいと思っています。10年後のベトナムで起きている問題を解決できるように、帰国後は母国に貢献する「日本とベトナムの架け橋」になりたいです。

