常翔学園の設置学校で学ぶ留学生を紹介する「GLOBAL VOICE」。第3回は、インドネシアから摂南大大学院に留学中のイェティ・シェルピアティさんです。敬虔なイスラム教徒ですが、小さいころから日本文化になじんできました。日本語とインドネシア語の比較研究をするイェティさんに、インドネシアの魅力や、日本での生活で実感したことなどを聞きました。
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イェティ・シェルピアティ(Yeti Syelfiati)さん
1991年インドネシアのスマトラ島生まれ。小学2年からジャワ島で育つ。 同島のバンドンの高校から国立パジャジャラン大学日本語学科に進学。同大卒業後、2018年摂南大大学院に進学。農業で米作りをしながら父は伝統人形の工場を、母はレストランを経営。
留学先に日本を選び、摂南大で学ぼうと思った理由は何ですか?
幼いころから日本の「ドラえもん」や「クレヨンしんちゃん」などのアニメやドラマを見て育ちました。今も日本のドラマが好きでよく見ています。最近では山﨑賢人さん主演の「グッド・ドクター」がお気に入りです。姉が大阪の日本語学校に留学していたこともあって日本に興味を持つようになり、インドネシアのバンドンにある国立パジャジャラン大では日本文化と言語学を専攻しました。姉の友人から、「大阪は住みやすい」「摂南大は学生と教員の距離が近い」という話を聞き、バンドンに雰囲気の似ている大阪で留学したいと思い、摂南大への進学を決めました。
現在の大学院での研究内容を教えてください。
インドネシア語と日本語の「断る」表現の比較について研究しています。日本語には「できかねます」「ちょっと、それは…」など相手の提案をやんわり断る表現が多いことに気づきました。一方インドネシア語には敬語がなく、年長者に対しても「いや」「だめ」「できません」とはっきり自分の意思を伝えます。日本人は相手を気遣うあまり、直接「NO」と言えない印象があります。日本とインドネシア双方の言語と国民性などを比較しながら研究を進めています。日本語の勉強も頑張っています。昨年12月に日本語能力試験のN1(1級)を受験しました。読解の問題が難しくて苦労しましたが、合格できたらうれしいです。
イェティさんから見た日本の良いところは何 ですか?
日本で一人暮らしを始めたころは、電車の乗り方が分からないなど戸惑いもありましたが、人々がみんな親切で困っている時によく助けてもらいました。優しくて思いやりのある人が多いので暮らしやすいです。日本食もおいしいです。インドネシアでは生魚を食べませんが、お寿司が大好きで、サーモン、はまち、マグロをよく食べます。お寿司だけでなくラーメンも好きですが、母が作るサンバルを使ったインドネシア料理が恋しくなる時もあります。
日本各地を旅行するのが好きだそうですが、印象に残った場所はどこですか?
日本に来てから、東京や金沢、名古屋、姫路などを訪れました。どこも素晴らしい場所でした。絵を描くのが好きなので、東京に行った時はスケッチブックに東京タワーの絵を描きました。日本にいる間に雪を見たくて、北海道にも行ってみたいと思います。 昨年8月にホームステイをした広島では、お好み焼きがおいしかったことが印象に残っています。また、原爆資料館を見て被爆者の話も聞き、戦争のない平和の大切さを改めて感じました。週末になると神戸のモスク(イスラム教寺院)にお祈りに行きます。
将来の夢を教えてください。
大学院修了後、機会があれば日本でファッションデザイン関係の仕事に就いてみたいと思っています。しばらく日本で働いた後、インドネシアに帰って母校で日本語を教え、日本語の楽しさや面白さを伝えるのが私の夢です。年長者の中には第2次世界大戦中の日本軍の記憶が強く、日本に対してステレオタイプな良くないイメージを持つ人も多いのですが、日本人の優しさ、勤勉さを伝えてそのイメージを変えたいです。日本の自然の美しさといった、日本の良さを一人でも多くのインドネシアの人に知ってもらって 「日本ファン」を増やしたいです。そのためにも日本にいる間に日本語だけでなく日本の地域のことや文化、歴史などについてもたくさん勉強したいと思っています。
