常翔学園の設置学校で学ぶ留学生を紹介する「ＧＬＯＢＡＬ　ＶＯＩＣＥ」の第２回は、常翔啓光学園高にデンマークから留学中のイブラヒミ・アランさんです。デンマーク生まれのアランさんですが、民族的には国家を持たない最大の民族と言われるクルド人です。「家の外ではデンマークの生活、家の中はクルドの生活」と話すアランさんに、母国・デンマークやクルド文化の魅力について聞きました。アランさんは来日半年ですが、英語も交えながらほとんどを日本語で話してくれました。

Profile

イブラヒミ・アラン（Aland Ibrahimi）さん

２００２年デンマーク北部の都市オールボー近郊の町に生まれ育つ。公益 財団法人ＹＦＵ日本国際交流財団の留学生として２０１８年４月から常翔啓光学園高２年のクラスに（１２月までの予定）。枚方市内の同校在学生の家庭にホームステイ。家具職人でレストランも経営する父と中学校などで生物学や数学、地理などを教える教師の母はともに中東出身のクルド人。両親と祖父、姉、弟の６人家族。デンマーク語、クルド語以外にアラビア語、英語、ドイツ語、日本語（勉強中）を話す。

留学先に日本を選んだのはなぜですか？

小学校の時から日本のマンガやアニメを見ていましたが、日本に留学したいと思ったのは新しい経験をしようと留学することを決めて留学先の国をインターネットで調べていて、日本の神社などの建築や自然に魅かれたからです。１０歳の時に留学しようと決めたのですが、その時にはお母さんに「早過ぎる」と許してもらえず、去年お父さんの応援もあって、やっと許してもらえました。留学先が日本だと分かるとお母さんは「治安が良くて犯罪の少ない国だからいい」と言ってくれました。ただ地震や台風などの災害はちょっと心配な様子でした。

常翔啓光学園高に来て一番驚いたことを教えてください。

テストの多さです！私は英語のテストしか受けていませんが、それでもデンマークの学校と比べると多いです。学校の食堂も気に入っています。デンマークではサンドイッチくらいで選択肢が少なかったのに、ここではメニューが多いし、どれもおいしいです。特に気に入っているのが鶏の唐揚げ。ご飯と味噌汁も大好きです。東京でも味噌汁を食べましたが、大阪の方がおいしいですね。

学校での生活は楽しいですか？

４月に来てしばらくは日本語が全然分からず、しかもお互いにシャイになっていたこともあって親しい友達ができませんでしたが、１カ月くらいで友達ができるようになりました。クラブ活動も日本で初めて経験しています。デンマークでは授業以外の活動は学校の外で、日本のように学校内のクラブだと他のクラスや学年の生徒とも友達になれて楽しいです。
今、ダンス部と男子バレーボール部に入って活動しています。バレーボールはあまりやったことがなくてまだ下手ですが、スパイクの練習などでうまく決まると気持ちがいいです。ダンスはデンマークでも経験があるのですが、もっとフォーマルなゆっくりしたダンスで、常翔啓光学園中高のダンス部でやるヒップホップ系ダンスはほとんど初めてでしたが、とても楽しいです。
日本に来てから大阪以外の東京や京都など各地に行きましたが、気に入ったのは海を臨む神戸の街です。地震と台風で予定していた北海道への修学旅行に行けなくてとても残念ですが、近いうちに友達とＵＳＪに行くことになっていて楽しみです。

日本で学びたいことは？

もちろん日本語です。デンマーク語も英語も字は１種類ですが、日本語はひらがな、カタカナ、漢字の３種類があって難しいです。ひらがなとカタカナは覚えましたが、漢字はなかなか覚えられません。音読みや訓読みも難しい。デンマークでは英語を小学校低学年から習いますが、日本語に比べればすごく簡単です。デンマークの家では私と姉は英語で話し、お母さんはデンマーク語とクルド語、弟はデンマーク語、お父さんはクルド語だけ、おじいちゃんはイランのペルシャ語を主に話し、とても複雑です。

将来の夢を教えてください。

留学を終えて帰国したら、デンマークの大学に進学することを考えています。まだ何を専攻するか決めかねています。お父さんの家具作り（デンマークの学校の机や椅子もお父さんがつくりました）がかっこいいと思ったこともありますし、お母さんのように教師という職業も考えたことがありますが、どうなるか分かりません。日本語の勉強ももちろん続けますが、大学でではなく、個人的に勉強するつもりです。ただ将来、家族みんなを日本に連れてきて案内したいというのは大きな夢です