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王 芸潔(おう・げいけつ)さん

広島国際大学 医療福祉学科4年

介護の専門知識を日本で学び
超高齢化が進む中国で老人ホームを立ち上げたい

FLOW No.94

中国から広島国際大に留学中の王芸潔さんです。母国の総合病院で助産師として働いていた王さんは、母親が祖母の介護をする姿を見て、介護の専門知識を学ぶことを決意し、日本へ留学しました。将来は、高齢化の進む中国で老人ホームを立ち上げ、介護環境の改善に貢献したいと、介護福祉士の国家資格取得を目指し勉強している王さんに母国での経験や日本での生活について聞きました。

Profile

王 芸潔(おう・げいけつ)さん

1992年、中華人民共和国東北部の遼寧省鞍山市で製鉄関係の会社員の父母のもとに生まれる。高校卒業後、青海省の短期大学で学び看護師資格を取得。卒業後、中国の総合病院に就職し助産師の資格も取得。働きながら1年間日本語を学び、2018年、広島国際大医療福祉学科に入学。

なぜ、日本で介護福祉士の資格を取ろうと決意したのですか?

親戚に医療従事者が多く、母親にも看護師になることを勧められ、高校卒業と同時に地元の遼寧省から遠く離れた内陸部の青海省にある医療系の学校で看護師と助産師の免許取得を目指し、卒業時に看護師免許を取得しました。助産師の免許取得には、実務経験が1年間必要なため、その後遼寧省に戻り、総合病院の産婦人科で働き免許を取得し、子供と母親の2つの命を預かる重要な助産師の仕事にやりがいを感じながら働いていました。そんな中、実家で祖母が病気で寝たきりになり、母親が仕事を定年退職して9年間も祖母の介護をしました。その母の姿を見ていて介護を身近に感じるようになり、「何か自分にもできることはないか」と思って、介護の勉強をすることを決意しました。

中国では、少子高齢化が進み介護人材の不足が深刻となっている一方で、介護の知識を学べる環境が十分に整っていなかったため、教育カリキュラムが充実している日本への留学に目を向けました。子供の頃から日本の「カードキャプターさくら」などの少女漫画や「ドクターX」などのドラマを見ていた影響もあり、日本に興味を持っていました。留学前の1年間は、中国の外国語学校で日本語を学び、日常会話レベルの語学力を身につけてから、日本に留学しました。

留学先は友人の勧めがあった他、自分でもインターネットで調べて、医療・福祉関係の幅広い知識を学ぶことができ、国家試験や就職サポートにも力を入れていて、勉強に集中できる環境が整っている広島国際大を選びました。

日本での学生生活はどうですか?

入学当初は、日本語を理解するだけで精一杯で、それに加えて、友人との会話で出てくる「~しんさい」や「じゃけん」などの広島弁が理解できず戸惑いもありました。授業は、標準語で話す先生が多いですが、専門用語も出てくるため、重要部分を板書することなどが難しく、その時は、日本人の友人がノートを見せてくれるなど周りのサポートに助けられました。1年もすると授業の大部分は聞き取れるようになりました。一番好きな授業は、複数人で話し合うグループワークがある授業で、同じ目標に向かって勉強する人たちと仲が深まりました。

授業がない時はどんなことをして過ごしていますか?

先生からの紹介で1年生の秋から老人ホームで、清掃のアルバイトをしています。清掃業務やお茶の提供などで、施設利用者のお年寄りとコミュニケーションを取るうちに親しくなることも多いです。介護現場を肌で感じながら、日本語の上達にもつなげています。

また、東広島市の主催で定期的に行われている日本語教室に参加して、日本人ボランティアの人と日本語でコミュニケーションをとり、語学力のアップに励んでいます。

日本の好きな場所や良いと思うところは何ですか?

一番印象に残っているのは、宮島の厳島神社と京都の伏見稲荷大社です。今後は、東京、北海道、沖縄にも行ってみたいです。日本の皆さんは、親切な人が多い印象で、留学生にも温かく接してくれます。特にキャンパスのある黒瀬町の方々は学生に優しく、道で自転車がパンクして途方に暮れていた私に声を掛けてくれて手助けしてくれたのにはとても感謝しています。

将来の夢を教えてください。

介護福祉士の国家資格を取得して、日本の特別養護老人ホームなどで経験を積み、将来的には、帰国して友人と協力して、老人ホームを立ち上げたいです。中国では仕事と親の介護の両立の難しさが深刻な問題とされているので、日本での知識と経験を生かして少しでも介護環境の整備に貢献したいです。
父親と小さい頃の王さん
友人家族と大阪観光
お国自慢:中華人民共和国・遼寧省
王朝文化偲ばせる瀋陽故宮
遼寧省の省都・瀋陽は人口800万人を超える大都市で、中国東北部の経済・文化の中心地です。その旧市街地の中心にユネスコの世界遺産にも登録された瀋陽故宮があります。かつてあった満州族王朝の皇居で、現在は「瀋陽故宮博物院」として有料で一般公開されています。建物や広場などに王朝文化が偲ばれて、古都の魅力が詰まった場所です。多くの日本人にもぜひ訪れてほしいです。
日本でもよく食べられている「餃子」ですが、中国東北部では、焼き餃子より、「水餃子」が最も好まれています。もっちりとしたコシのある食感で食べやすいだけでなく、年越しや旧正月には、家族で集まって食べる習慣がある「縁起の良い食べ物」とされています。また、内陸部や南部では、油を使わないヘルシーな「蒸し餃子」も代表的な食べ方で、エビやホタテなどの海鮮類との相性が良く、餃子の餡に入れて、いろいろな形の餃子を家庭でも楽しむことができます。
  • さまざまな種類の餃子
  • 奇岩が織りなす名勝の多い千山
  • 千山山脈にある滝
  • 世界遺産の瀋陽故宮

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