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フランシスコ サベリウス クリスティアント ラレスさん

摂南大学 経営情報学科3年

経営学で起業を学び 
インドネシアと日本を結ぶITビジネスを

FLOW No.95

インドネシアのボルネオ島(カリマンタン島)から摂南大に留学中のフランシスコ サベリウス クリスティアント ラレスさんです。父の勧めで日本に留学を決めたフランシスコさんは、主に経営学を専攻しており、将来は母国と日本にまたがるIT企業を設立したいと考えています。両国の経済事情や人口推計などからビジネスチャンスを見極めようとする姿勢は、既に起業家の片りんをうかがわせます。

Profile

フランシスコ サベリウス クリスティアント ラレスさん

1999年、インドネシアの中部に位置するボルネオ島・東カリマンタン州に生まれる。日系企業に勤務する父の勧めで、2017年に来日。2年間、大阪の日本語学校で学び2019年に摂南大経営情報学科に入学。趣味は写真撮影で、撮影・編集したものをSNSにアップしている。キリスト教徒。

日本へ留学しようと思ったきっかけや理由を教えてください。

父がインドネシアにある横浜ゴムのグループ会社で働いていることもあり幼い頃から日本にはなじみがありました。父の勤務先以外にもインドネシア国内には日系企業がたくさんあります。さすがGDP 世界第3位の経済大国だなと思っていました。しかし、最初は日本へ留学することは考えておらず高校卒業後は友人たちと同じように国内の大学へ進学するつもりでした。日本へ留学することになったのは、父の勧めがあったからです。若いうちから日本と関わりを持っていれば将来的にビジネスの輪も広がるだろうと、留学を決めました。

日本語がとても流ちょうですね。

インドネシアの高校では第二外国語として日本語が採用されており、ASEAN 諸国の中でも日本語学習者は突出して多いです。僕も基礎的なことは高校で学びました。しかし、話すことはできても、読み・書きには苦労しました。ひらがな・カタカナ・漢字の3種の文字の使い分けが必要だからです。外国人が日本語を非常に難しいと感じるのは文字の種類や数の多さも影響しているのではないでしょうか。また、僕が最も困ったのは同じ漢字でも音読み・訓読みと発音が異なる上に、意味も変わってくるところです。「同じ漢字なのになぜ?」と頭を抱えたことは少なくありません。

日本に来て驚いたことはありますか?

卵かけご飯を初めて見た時は衝撃的でした。インドネシアでは卵に火を通してから食べるのが一般的です。何のためらいもなく生卵と白米を混ぜて食べている日本人を見て面食らいましたが、物は試しと食べてみたところ案外おいしかったです。

また、飲食店でのアルバイトを通じて、日本人の仕事に対する考え方やシステムにも驚きました。とにかくマニュアルが多いのです。生真面目で勤勉な姿勢が表れているなと思いました。更に、終業後飲みに行くという感覚も新鮮でしたね。インドネシアは約9割の人がイスラム教徒なので、いわゆる飲み会という習慣はあまり根付いていません。

大学ではどのような勉強をしていますか?

経営学の中でも特に起業という視点で勉強しています。昨年度履修した「ベンチャービジネス論」では毎回起業家の方からお話が聞けて非常に興味深かったです。また最近は、卒業論文のテーマを決めました。インドネシアにおけるユニコーン企業に関する研究です。ユニコーン企業とは、設立10年以内で企業価値(時価総額)が10億ドル(約1100億円)以上の未上場のベンチャー企業のことを指します。有名なのは、動画共有サービスTikTok を経営するByteDance(中国)でしょうか。

インドネシア内にはユニコーン企業が5社あり、国別企業数では世界トップ10に入ります。僕は、インドネシアのユニコーン企業についての現状や国内で成長しやすい理由、なぜ海外投資家が注目するのかを調べるとともに、将来予想などを立てようと考えています。考察した内容を日本語で書くのは大変ですが、せっかくなので日本語での論文作成に挑戦します。

将来の夢について教えてください。

いずれは母国に帰り会社を設立するのが目標で、日本とインドネシアが協働して取り組める事業を展開するIT関連企業を立ち上げたいです。というのも、日本は将来的に外国人にとってビジネスチャンスの多い国になると思うからです。具体的な構想はこれからじっくり時間をかけて考えますが、インドネシアと日本の架け橋のようなITビジネスマンになりたいですね。両国の経済を活性化させるとともに社会的に意味のある事業ができたらと考えています。そのためにも、大学卒業後はまず日本の企業に就職しようと考えています。
港湾都市バリクパパンは近代化が進む
水上マーケットの様子(外国語学科金子正徳特任准教授提供)
バンジャルマシンの街並み(外国語学科金子正徳特任准教授提供)
フランシスコさんが撮影・編集した京都・二寧坂の写真
お国自慢:インドネシア共和国
未来の首都で豊かな自然も 多彩なボルネオ島
僕の地元、東カリマンタン州があるボルネオ島は世界第3位の面積を誇る大きな島です。インドネシアはアルプス・ヒマラヤ造山帯と環太平洋造山帯の両方にまたがる国ですが、カリマンタン5州はどちらの造山帯にも位置しておらず、国内唯一と言っていいほど地震がほぼない地域です。山間部は手つかずの自然が残り、珍しい野生動物の生息地となっています。島には大きな川がいくつもあり、特に南部を流れるバリト川沿岸のバンジャルマシンは別名「東洋のベニス」として有名。日本ではあまり知られていませんが水上マーケットでにぎわう街で、早朝から野菜や果物、魚を乗せた小舟がたくさん集まります。また、港湾都市バリクパパンは資源が豊富。特に石油生産の中心地となっており、世界屈指の石油関連企業がこの都市に拠点を構えています。更に、州内では新首都建設が進んでいる地域もあります。
河川沿岸部・山間部・都市部でそれぞれ異なった顔を持ち、多彩な魅力が集まっているのがボルネオ島の自慢です。

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