小雲 康弘さん

日東精工 執行役員兼海外推進部 部長 兼産機事業部海外販売部 部長

米国での海外勤務を転機に
ねじ締め装置のプロとして世界を駆ける

Graduate Voice 活躍する卒業生

FLOW No.85

Profile
おぐも・やすひろ
1989年大阪工業大学工学部電気工学科(現:電気電子システム工学科)卒。同年日東精工入社。産機事業部に配属され、組み立て、設計を担当した後、2005年に米国の現地法人に赴任、2019年から現職。京都府出身。

ふるさと京都府綾部市の地域密着型企業日東精工に入社し、米国での4年半の海外勤務を経て、今年から同社の海外販売全体を統括する小雲康弘さんは、大阪工大電気工学科(現:電気電子システム工学科)の卒業生です。直径が0.6ミリの、米つぶにも満たない極小ねじやねじ締めロボットなどの自動化設備を手掛ける工業用ねじの大手メーカーで、小雲さんはそんなものづくりの技術者からスタート。今は大きな視野で一つでも多くの取引相手国を開拓しようと広い世界を舞台に活躍しています。

旧国鉄の運転士だった父の影響もあり、小雲さんは子供のころから機械に興味を持っていました。ものづくりに携わりたいと進学した大阪工大では、コンピューターを使った意思決定手法「階層分析法」を研究しました。学生生活での一番の思い出は軟式庭球部の活動です。軟式テニスは高校から始めましたが、大阪工大での練習は想像以上にハードでした。3年生の時には8部リーグ制の5部から4部への昇格を果たすとともに、副キャプテンを務めました。

そんな小雲さんが大学卒業後に選んだ就職先はふるさとの企業で親しみもあった日東精工でした。ものづくりに欠かせない9万種類もの工業用ねじから、ねじ締め機までを手掛けるねじのエキスパート企業です。入社後、自動ねじ締め機、ねじ締めロボットなどの生産を手掛ける産機事業部に配属され、当初の2年間は電気組み立てを、その後は電気設計を担当しました。「お客様のオーダーに対応したねじ締め機のシステムや機械の調整では苦労も多いですが、うまく動いた瞬間はうれしく達成感があります」とものづくりの醍醐味を話します。

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ねじ締め機を手に



大きな転機は、2005年から4年半の米国での海外勤務と振り返る小雲さん。もともと海外へのあこがれはありましたが、英語が話せない自分にそのチャンスが巡ってくるとは思っていませんでした。思いがけない会社からのオファーに「家族にも相談せずに二つ返事で『行きます』と答えていました」と笑います。赴任先はミシガン州の現地法人で、主に日系企業を相手に技術支援、営業を行いました。日本人は社長と小雲さんの2人だけで、赴任当初は現地の米国人従業員らを相手に身ぶり手ぶりでのコミュニケーションで苦労しましたが、3年目には英語の会話ができるようになり仕事も充実しました。「カルチャーショックを受けた米国生活では、日本人の働きすぎなどの見直すべき点を認識しましたが、一方できっちりと計画どおりに実行する勤勉さ、真面目さといった日本人の素晴らしさも改めて実感できました」と振り返ります。

今でも2カ月に1回は海外に出張するという小雲さん。海外で仕事をする上での信条は「スピードが求められるので、素早い対応で信頼を得ることです。また、日本人特有のあいまいな表現は通用しないので、明確な意思表示を行っています」と話します。現在は、今後有望なインド市場などの新規開拓を担当しています。「誰もやったことのない仕事はやりがいがあります。趣味と実益を兼ねて楽しんでいますよ」と笑顔で話します。

パイオニア精神とチャレンジ精神に満ちあふれた小雲さんだけに後輩たちには、「多くの人に出会って、いろいろな考え方に触れて、自分自身を見直す機会を作って欲しい。断ることは簡単ですが、まずは受けて、人とのつながりや世界の広がりを持ってください」と実感のこもったアドバイスを送ってくれました。

活躍する卒業生