浅田 翔さん

箕面市立第二中学校 こども支援コーディネーター 理科教諭

迷い悩んだ経験を生かそうと教師に 
「受けたい」と言われる授業をめざす

Graduate Voice 活躍する卒業生

FLOW No.85

Profile
あさだ・しょう
2014年摂南大学理工学部生命科学科卒。大阪府教員採用試験に合格し、同年箕面市立第二中学校に着任。各学年の副担任や担任を経て、2018年からこども支援コーディネーターの立場に。大阪府出身。

高校生のころ進路と勉強に迷ったことがきっかけで教師になろうと決めた浅田翔さんは、摂南大生命科学科の第1期卒業生です。大学時代はひたすら教師になるための勉学や課外活動に積極的に取り組みました。その夢を叶えた今、「もっと授業がうまくなりたい」と努力を続ける一方で、生徒の学力を向上させることだけが教師の仕事ではないということも痛感しています。

摂南大入学当初から教員免許を取ることを目標に定めた浅田さんですが、高校生のころはその目標があやふやだったと言います。「幼いころから動物が好きで、動物園の飼育員や獣医になりたいと考えたこともありましたが、進路は漠然としていました」と振り返ります。自分が何になりたいのか、思案する中で受験勉強も思うようにはかどらない時期が続きました。やがて迷い悩んでいる自分の経験こそ教師という仕事に生かせると気付きます。「そんな自分だからこそ、同じ苦労や悩みを抱える子どもたちの役に立てると考えました」。動物好きもあって科目は「教えて楽しい」理科を選びました。

大学4年間は、教師になることに役立つと思えたものは何にでも挑戦しました。大学近隣の中学生向けの理科実験教室に先生役として参加したり、学内では難聴学生のためのノートテイカーのボランティアを行ったり、誰かに何かを教える活動に積極的に取り組みました。3年の時には箕面市の施設「らいとぴあ21」で週に1度、地元の中学生たちの勉強をサポートしました。そこで顔馴染みとなった子どもたちの何人かとは、着任した箕面市立第二中学校でうれしい再会を果たしました。「学習支援だけでなく、多くは話を聞いて寄り添うような存在でしたが、一番の思い出深い経験になりました」と話します。

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浅田さんは教壇に立って改めて教師の仕事の多さと忙しさに驚きました。教えること以外に、多感な時期を過ごす生徒一人一人の様子をつぶさに観察し、気になった生徒には話し相手になります。顧問をする陸上部の指導や大会への引率、事務作業も多岐にわたります。もちろん最も力を入れるのは授業です。一つの授業のために授業時間の何倍もの準備時間を割きます。どうすれば生徒たちが理解してくれるか、教え方や授業の組み立て、実験の仕方を考えることに最も悩みます。まだ満足のゆく授業は「100回に1回ぐらい」ですが、生徒たちが「分かった!」と笑顔になる瞬間が一番うれしいと言い、「生徒たちには3年間で理科だけでなく新しい価値観に出会ってほしい」と心掛けています。

今年度からは新たに教科指導から離れて「こども支援コーディネーター」という立場で、子ども支援に関する研修や会議のコーディネートを行っています。生徒たちと接する機会が以前より減ってしまったため、始めたのが朝のギター演奏。登校時間に正門付近で、生徒たちに「おはようございます」と声を掛けながら自前のギターを奏でます。「少しでも生徒と話すきっかけになれば」と始めたことですが、当初はけげんそうだった生徒たちも、最近は何人かが話し掛けてくれるようになりました。

「もっと授業がうまくなって、『この先生の授業を受けたい』と言われるような教員になりたい」と将来の夢を語る浅田さん。後輩たちへは「いろんな人に出会い、さまざまな本を読んで、いろんな場所に行って、たくさんのことを経験してください」とアドバイスを送ってくれました。

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