常翔啓光学園中2年

生田智輝さん、芝原拓歩さん

大阪工業大学 ロボティクス&デザイン工学部 ロボット工学科

廣井 富 教授

Q. 追従ロボットは、どうして人を追い掛けながらも障害物を回避できるのですか?
A. LiDAR(距離センサー)で追従している人の位置や空間の広さを考慮して進む方向を決めているからです。

FLOW No.116

3大学2中高を設置する本学園のスケールメリットを生かして、中高生が大学の先生から学ぶ「教えて先生」。今回のテーマは生活を支援するロボットの開発です。常翔啓光学園中2年の生田智輝さんと芝原拓歩さんが大阪工大梅田キャンパスを訪れ、ロボット工学科の廣井富教授が製作したロボットを見ながら、部品や性能、デザインなどについて教わりました。

子どもと遊ぶことができる生活支援ロボット

廣井:私は、子どもと遊ぶことができる生活支援ロボットの研究をしています。子どもは急に走り出したり、ロボットにいきなりタッチしたり、大人が予想もつかないような動きをします。そこで、子どもと遊ぶことができるロボットは、一般的なロボット以上に安心や安全に配慮した技術が必要になります。2人はロボットに興味がありますか?

芝原:小学生の時、プログラミングの教室に通っていました。中学では課外授業でCADや3D プリンターを使って工作しています。廣井先生のロボットを見るのが楽しみです。

生田:芝原君と同じ課外授業に参加しています。僕も小学生の頃からプログラミングをしています。ロボットをどのように開発しているのか知りたいです。

廣井:プログラミングは私も小学2年からしていて、ロボットを作ることも好きでした。当時はキットなどがなかったので、部品を自分で買いそろえていました。当時の経験が、現在の研究室のテーマ「ないものはつくる、ないものをつくる」につながっているのかもしれません。
 今日は研究室で開発しているロボットから3種類を紹介しましょう。最初が「道案内をするロボット」です。あらかじめ決めておいたルートに沿って、ロボットと人が手をつなぎ、人の歩行速度に合わせて、一定の距離を保ちながら目的地まで誘導します。ロボットはセンサーを使って人を認識し、人の歩くペースを把握して速度を調整しています。
 続いて「『だるまさんが転んだ』をするロボット」です。核家族化や少子高齢化の影響で子どもの外遊びの機会が減っていることから、子どもが動き回る遊びに対応できるロボットの開発をしました。LiDAR(距離センサー)を使い、プレーヤーを検出して追跡し、動いているか止まっているかを判定します。アウトの判定基準は自在に変更できます。今回はわずかな動きも検出する厳しめの設定にしてみました。

芝原:だるまさんが転んだをやってみたら、自分では動いていないつもりなのに「アウト」と言われました。判定が厳しいです。でも、ロボットはアウトと言いながらも顔は笑っています。「厳しいのか優しいのかどっちなんだ?」と混乱します。

廣井:よい指摘ですね。ロボットの表情をどのようにするとよいか、については興味深い研究分野の一つです。表情を変更できるロボットも作っているのですが、このロボットの表情は変化しません。次の機会があれば、お見せしますね。

人を追従する技術を中心に研究

廣井:最後に紹介するのが「人を追従するロボット」です。私の研究室では人を追従する技術を中心に研究しています。LiDAR を使っているので、明るい所、暗い所でも問題なくターゲットを追い続けます。

生田:追い掛けている時に、他の人や物にぶつかったりしないのですか?

廣井:追従している人の周りをLiDAR で観測しています。障害物を見つけた場合は、障害物を避けて追従します。追従している人との位置と空間の広さを考慮する独自のアルゴリズムです。

芝原:ロボットは完成までにどのくらいの時間がかかっているのですか?

廣井:何年もかかっています。研究室では大学4年生が1年かけて卒業研究に取り組み、卒業後はその研究を後輩が引き継ぎます。毎年、少しずつ性能をアップさせています。

幅広く経験することがどのような世界でも力に

芝原:廣井研究室のロボットは人の手で組み立てているのですか?

廣井:はい。私の研究室のロボットは、ほぼ学生の手作りです。学生はCADで設計して、さまざまな工作機械や3D プリンターを用いて作っていきます。ものを自分の手で作ることは教育的に大事だと思っているので、外注することはほとんどありません。
 ものづくりはそれを作るための施設がないとできません。本学は工作機械や3Dプリンターが充実しており、大きな強みになっています。

生田:ロボットの開発はどんな手順で考えますか?

廣井:ラフスケッチをしてからCADを使うことを推奨しています。頭の中を一度整理してからCADを用いると、現実には作ることのできない設計をすることを防ぐことにつながります。

生田:ロボット開発を将来したいと思ったら、中学や高校でしておいた方がいい勉強はありますか?

廣井:数学や物理は基本になるので当然重要です。研究では、論文を書くので国語も大事ですね。その一方で、一見ロボットに関係がないように思うことを学ぶと柔軟な発想力を養うことにつながります。皆さんが大人になった時には、また世界も変わっているでしょう。幅広くさまざまな経験をしておくと、どのような世界でも力を発揮することができると思います。

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道案内をするロボット
「『だるまさんが転んだ』ができるロボット」にチャレンジする芝原さん(左)と生田さん
「人を追従するロボット」について廣井教授(左端)から説明を受ける芝原さんと生田さん
Profile

廣井 富(ひろい・ゆたか)教授

大阪工業大学 ロボティクス&デザイン工学部 ロボット工学科

2009年大阪工業大学工学部機械工学科講師。2014年工学部ロボット工学科(現 : ロボティクス&デザイン工学部ロボット工学科)准教授。2023年から現職。博士(工学)。

教えて先生