「投手戦よりはバッティング重視です。シーソーゲームで打ち勝つ方が好きですね」と野球論を語る岡田さん。といってもグラウンドでする野球の話ではなく、コンピューター画面上の野球です。岡田さんはプロ野球eスポーツリーグ「eBASEBALL プロリーグ」の東北楽天ゴールデンイーグルスで活躍するれっきとしたプロプレイヤーです。小学生の時に初めてゲームソフト「実況パワフルプロ野球」で兄と一緒に遊び、高校生になって友人とのゲーム対戦の面白さに目覚めたのがeスポーツに進むきっかけでした。
プロになるのを意識したのは摂南大入学後。オンラインで対戦するゲームの楽しさにはまり、自分がどれだけ強いか試したいと当時のトッププレイヤーに“出稽古” を申し込みます。自信を持って臨んだのに、結果はあっさりとコールド負け。「自分が強いわけではない」と痛感させられた岡田さんは、その後はトッププレイヤーの試合を徹底的に分析し、大学1年の終わりごろにはそんな相手にも徐々に勝てるように。1000試合以上の対戦経験を積み、オンライン成績上位にランクインされるようになった結果、2018年にプロリーグが発足すると、プロ野球さながらのeドラフト会議で楽天から2位指名を受けました。「まさか2位で名前が呼ばれるとは思っていなかったので驚きました」と当時を振り返ります。
チームメート4人の中では岡田さんは最年少。毎週末のセ・パのリーグ戦とセ・パe交流戦6ゲーム計21ゲームを戦います。リーグ優勝して1月のSMBC e日本シリーズに進出して日本一になったチームには1400万円の報酬があり、個人タイトルを取ればそれが更に積み上がる世界です。岡田さんは「年齢も違い、住んでいる場所も全国に散らばっている仲間との出会いも刺激的で財産です」と競技や報酬を越えたeスポーツのもう1つの魅力を語ります。eペナントレースは11月に開幕。「1試合でも多く出たい」と風邪を引かないように体調管理とコントローラーを握る「商売道具」の手を守るケアも怠りませんでした。今季は見事コカ・コーラeクライマックスシリーズに進出しましたが、惜しくもファーストステージで敗退しました。
4年進級後は「もっとeスポーツを皆さんに知ってもらいたい」とeスポーツと実際の競技とのかかわりについて卒業研究を始める予定です。eスポーツにかける情熱がキラリ光ります。