祖父と叔父が医療職だった脇屋さんは、幼少期から自分も同じ道に進みたいと考えていました。小学校高学年で、広島国際大の子ども向け職業体験イベントに参加した時、医療と工学のかけ橋としてさまざまな医療機器を扱う臨床工学専攻の学びに興味を持ちました。風船の大きさを維持する体験では空気量の調節に苦戦しましたが、「初めて操作した人工心肺や電気メスなどの医療機器に、心が躍ったのを今でも覚えています」と振り返ります。後に、広島国際大出身の叔父の勧めもあり、数多くの医療機器が整い、学習環境の充実した同大へ進学しました。
大学では、1年から実習がありました。「毎回新しい発見があり、楽しく学べています」。最も印象に残っている授業は、3年後期に1限から5限まで、これまで学んだ知識を全て活用し、1日かけて行った実習です。細かい分野ごとに理解していても、全てをつなげて考えると難しいこともありました。また、授業後には大学に残って同じ実習班のメンバーと施設使用が許可されている午後11時まで議論や勉強をして、自分1人では出せなかった答えにたどり着くこともできました。この授業を通して知識を深めるだけでなく、チームワークの大切さを学び、貴重な機会となりました。
同じ頃、医療機器の安全管理や保守に関する知識と技術を証明する第2種ME(Medical Engineering)技術実力検定試験を受験しました。試験範囲は授業と共通するので、復習することを常に心掛け、「眺めるだけでも」と毎日ノートや参考書を開きました。その努力が実を結び、試験に合格。次は、第1種合格を目指したいと意気込みます。
現在は、卒業研究の一環として大学近隣の病院で機器の清掃や患者介助など助手業務を担っています。現場では、患者さんと話す機会が多くあり、寄り添うコミュニケーションを大切にしています。大学で学んだことやこれまでの経験を生かして「将来は臨床工学技士としてさまざまな業務に携わり、視野を広くして働きたいです」と語る瞳がキラリ輝いています。