上野 未貴講師

大阪工業大学 工学部 電子情報システム工学科

写真や小説をAIで定量化 
創作者に助言するシステムを開発

研究最前線

FLOW No.94

上野 未貴 講師
Profile

上野 未貴 講師

うえの・みき 2010年大阪府立大学工学部知能情報工学科卒。2015年同大学院工学研究科電気・情報系専攻知能情報工学分野博士後期課程修了。日本学術振興会特別研究員、豊橋技術科学大学情報メディア基盤センター助教などを経て、2019年から現職。博士(工学)。京都府出身。

上野講師は、写真や小説、漫画など、さまざまな創作物をAI(人工知能)を使って定量化し、創作者に助言をするシステムの開発に取り組んでいます。「創作者のパートナーになるような物を作りたいです。創作する時には人間も考えますが、AIの判断結果と合わせることで、より作品の魅力が引き出せると思います」。

研究テーマの1つは、どのような用紙に写真を印刷するのが良いか教えてくれる仕組みの構築です。光沢紙は光の反射が強く、マット紙は色の再現率が高いなど、用紙によって特徴があります。これまではどれを選択するかは個人の感性だと考られてきましたが、大学院生と上野講師は研究相談を重ね「写真と調和する用紙」を提案するアプリ を開発しました。写真コンテストで入賞した作品を「正解」として、AIに写真の内容と用紙の関係を学習させることで、その写真にふさわしい用紙を選択できるようにしました。アプリは一般に公開することも検討しています。

また、撮影した写真の良い点をAIが褒めてくれる「ほめますシステム」も開発しています。写真の「主役」を推定、構図を評価する他、「伝えたいことは生命感」「物語性がある」などと客観的な表示を目指しています。写真コンテストで受賞歴のある大学院生が撮影した写真にラベルをつけてデータセットを構築。このシステムを使えば、撮影者に対しAIが写真の講評をするのです。褒めることで、作品にどのような魅力があるかを再認識できます。「創作をする人がもっと増えてほしい」。ほめますシステムには大学院生と上野講師のそんな願いが込められています。

上野講師の研究室には、漫画研究部に所属していたり、書道経験があったりと、自分で創作活動をしている学生が在籍しており、学生の創作物を研究で使うことも多くあります。上野講師自身も、物心ついた頃からイラストや小説を書いていたという創作者の一人です。本に囲まれた環境で育ち、アニメや映画、ドラマなどの映像表現も好んで鑑賞してきました。「昔から作品を通して、登場人物がどんな人かを推し量っていました。コンピュータを使って創作者が込めた思いを、どのようにプログラムとして表せるかが研究者としての関心事です」。人間の心の領域と深く関わっている創作の世界にAI が何をもたらすのか。上野講師のこれからの研究に注目です。

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