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奥野 弘嗣 講師
おくの・ひろつぐ 2008年大阪大学大学院工学研究科電気電子情報工学専攻博士課程修了。同大学院工学研究科助教などを経て、2016年大阪工業大学情報科学部コンピュータ科学科特任講師、2018年から現職。博士(工学)。大阪府出身。
近年、災害救助の現場へのドローン導入が進んでおり、空撮による被災状況の確認、要救助者の捜索などでの活躍が期待されています。奥野講師は昆虫などの視覚神経を模倣した完全自律飛行型ロボット(ドローン)を開発し、人間が容易に立ち入れない災害現場などで使われることを目指しています。
「生体を構成する神経回路は、電子回路に比べると約1000万倍遅い動作しかできないにもかかわらず、生き物は生存に必要な情報とそうでない情報を瞬時に判断し、最新の電子回路よりもはるかに速く、空間認識や音声認識などの情報処理を難なくこなしていることに驚きました」と研究の原点を語ります。取り組んでいるのはコンピュータ科学と神経科学を融合させた「神経模倣システム」の開発。「生物の優れた機能や仕組みを人工的に再現し取り入れるバイオミメティクス(生物模倣技術)の一種です。生物の脳や神経に学んだシステムと半導体の処理能力を組み合わせれば、従来よりはるかに高速で効率的な情報処理システムができるはずです」と話します。そんな奥野講師が現在力を入れているのが、昆虫の視覚神経を模倣した画像処理システムとそれを搭載した飛行型ロボットの開発です。
ハエやハチなどは小規模な視覚神経系を駆使し、必要な視覚情報のみを処理して飛行距離の把握や衝突回避の行動を行っています。「例えば接近して来るものにだけ反応し即座に脚や羽を動かすための神経経路があります。この経路では、中枢神経での情報処理を経ずに感覚器に判断が任されているので、運動器の反応が速いのです」。当面の目標はこのメカニズムを模擬し、低消費電力で、飛行を自律制御するシステムを搭載した手のひらサイズのドローンの開発です。「周囲の状況を自ら判断して動く、いわば“空飛ぶルンバ”ですね」と笑います。生き物の神経系の情報処理については、まだまだ解明できていない部分が多く、「それだけに可能性の大きな分野でやるべきことはたくさんあります」と話し、日夜、研究に取り組んでいます。



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