赤井 愛准教授

大阪工業大学 ロボティクス&デザイン工学部 空間デザイン学科

障がいの有無にかかわらず
深海を体感できる教材制作

研究最前線

FLOW No.106

赤井 愛 准教授
Profile

赤井 愛 准教授

あかい・あい 1996年筑波大学芸術専門学群生産デザインコース(現:情報・プロダクトデザイン領域)卒。1998年同大大学院デザイン研究科(現:デザイン学学位プログラム)修了。松下電工、LEM空間工房を経て2009年大阪工大工学部空間デザイン学科准教授。2017年から現職。2004年にグッドデザイン賞新領域部門及びプロダクト部門、2005年にグッドデザイン賞新領域部門を受賞。2017年、2023年にキッズデザイン賞を受賞。京都府出身。

近年、ユニバーサルデザインに注目が集まっています。障がいの有無だけでなく年齢や性別、国籍にかかわらず誰もが最初から利用しやすい環境をデザインしていくという考え方で、新紙幣にも取り入れられています。

自身の研究を通してユニバーサルデザインに取り組んでいるのが赤井准教授です。特に、視覚障がい者と晴眼者(※)の区別なく使えるモノやコトのデザインに注力しており、子どもを対象にした体験型教材「深海エレベーター」を制作しました。
視覚障がい者の対義語で、視覚に障がいがない人を示す。

深海エレベーターとは、深海にいる感覚を音と光を用いて体感できるブースです。アルミフレームで一辺1.2m×高さ2.1mの八角柱の骨組みを作り、暗幕で覆って真っ暗な空間にします。内側の前面にスクリーンを置き、周囲には平板スピーカー16台を設置して、モニターに映し出された光に合わせてスピーカーから音を出していきます。平板スピーカーは周囲の音と混ざりにくく、音が出ている場所が分かりやすいという特徴があるので、出す場所を変えることでまるで生物が動いているような感覚を味わうことができます。

音と光を頼りに、深海を目指して潜水していく中でさまざまな生き物大阪工業大学ロボティクス&デザイン工学部空間デザイン学科赤井愛准教授データ駆使して国際金融の変化を洞察コロナ後のアジア経済への影響も分析に出会うというストーリーになっています。海中を漂うクラゲはフワフワ、高速で泳ぐペンギンはピュー、巨大なクジラはゴゴゴゴと、それぞれの生物のイメージ音を特定のスピーカーから出すことで、どこに生物がいるのかを想像することができます。参加した子どもの中には音を追いかけるように顔を動かす子もいました。

深海を題材にしたのは、光が届かない場所は誰にとっても真っ暗な世界で、視覚障がいや色覚特性の有無に関係なく皆で体験を共有できるからです。

赤井准教授は「障がいや特性を持つ人に配慮したバリアフリーデザインには大きな意義がありますが、ユニバーサルデザインとは少し考え方が異なります。ユニバーサルデザインにおいて重要なのは、自分自身を含む社会を構成する全ての人が、性別や国籍、障がいの有無によって分け隔てられることがないというインクルーシブな視点です」と話します。そのため、人が持つ属性にとらわれずフラットな視点を持ち、他者を知ろうとすること、他者に対して想像力を働かせることが必要だとも言います。「誰にとっても当たり前のモノやコトをデザインしたり設計したりするにはどうすればよいか考え形にすることを通して、障がいや特性のある人々の選択肢を増やしていくことが、大学の研究者である私の役目だと思っています」

深海エレベーターを動画で紹介
https://www.research.oit.ac.jp/oitid/archive/2021/seeds/seeds/seeds-12450/

深海エレベーターの仕様
深海エレベーターの仕様

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