元山 明子さん

中国電力 中電病院臨床工学科 臨床工学技士

学生時代に育まれたコミュ力で
仕事・商品開発・家庭に全力投球

Graduate Voice 活躍する卒業生

FLOW No.104

Profile
もとやま・あきこ 2002年広島国際大学保健医療学部臨床工学科(現:医療技術学科臨床工学専攻)卒業。JA吉田総合病院 透析室入職。2003年広島大学病院 診療支援部臨床工学部門入職。2006年中国電力中電病院臨床検査科 ME管理室入職。2023年同臨床工学科~現在。広島県出身。

広島市の中国電力中電病院で臨床工学技士として働く元山明子さんは広島国際大1期生です。同病院で医療機器の保守管理を担い、現場に役立つ機器の開発にも挑んでいます。大学時代に育まれたコミュニケーション能力が、多職種との連携を求められる仕事に生きていると胸を張ります。







苦しむ祖母の姿見て優しい医療を目指す

元山さんが医療の道を志したきっかけは中学生の時、入院中の祖母が人工呼吸器を装着されて苦しむ様子を目の当たりにして「患者に優しい医療機器があればいいのに」と感じたことでした。

高校生になり、生命維持に必要な医療機器を扱う専門職の臨床工学技士を知り、資格取得のために新設されたばかりの広島国際大へ進学を決めました。

1期生は保健医療学部と医療福祉学部の2学部5学科に計552人。キャンパスの周囲には店舗もなく、どんな学生生活になるのかと不安を覚えました。しかし、人数の少なさは学部学科を超えて横のつながりができ、多くの学生や先生と親しくなれました。「物おじしない度胸がつき、多職種連携が必要な今の仕事に生きています」。2期生を迎えるため、1期生で企画したバーベキューは懐かしい思い出です。

現在の勤め先の中電病院は、広島の都市圏地域に密着して、急性期と回復期の中核を担っています。中電病院において初の臨床工学技士として2006年に入職して、医療機器の安全性を保つ専門部署「ME管理室」を立ち上げました。スタッフは現在3人に増え、今春から「臨床工学科」になりました。人工呼吸器や腹腔鏡、内視鏡などの機器の動作確認や設定という保守管理の仕事に加え、院内で教育研修もしています。

5月に名古屋で開かれた学会参加時の記念写真。右から4番目が元山さん



製品化した機器で受賞 病院外にも広がる活動

最近は、現場の困りごとを解決できる機器の開発にも取り組むようになりました。大阪のメーカーと製品化した血圧計の腕帯の空気漏れを検査できる機器は、日本臨床工学技士会が主催する医工連携アワードのベストデベロップメント賞を受賞しました。本賞受賞により、学会やオンライン会議で発表する機会も増えています。

家族は夫と小学6年の長女、年長の長男との4人です。重要な仕事や出張はカレンダーに書き込み、状況を知ってもらい理解や協力を得やすくしています。下ごしらえ済み食材の宅配、年2回のプロの水回り清掃、延長保育など、頼ることのできるサービスはとことん利用して、だんらんする時間を確保します。春には持ち山に病院の同僚を招待してタケノコやタラの芽を収穫するなど、オンもオフも充実しています。

元山さんは仕事で助言がほしくなると、今も広島国際大を訪ねます。「頼ると振り返ってくれる、まさにホーム」。母校愛が強いだけに、後輩には「友達や先生との関係を大切にしてください。大学でのつながりが社会に出たときに生きてきます」と温かなメッセージを寄せてくれました。

持ち山でのタケノコ狩りは春の楽しみ。子供を見守る元山さん(右奥)

活躍する卒業生