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岡田 智博 さん 山本 達也さん

洲本警察署 署長 / 淡路警察署 署長

摂南大剣道部OBの2人が淡路島の署長に就任 
強い連携で治安と市民の安全を守る

Graduate Voice 活躍する卒業生

FLOW No.99

Profile
おかだ・ともひろ 1986年摂南大学国際言語文化学部国際言語文化学科(現:国際学部国際学科)卒。在学時は剣道部員として稽古にまい進。同年兵庫県警に入り、薬物銃器対策課で暴力団対策に長く携わる一方、警察学校の教官を務め警察庁への出向も。灘署副署長などを経て2022年から現職。警視。兵庫県出身。
やまもと・たつや 1988年摂南大学経営情報学部経営情報学科(現:経営学部経営学科)卒。在学時は剣道部に所属し、岡田警視の2期後輩にあたる。同年兵庫県警に入り、警察官歴34年のうち約20年暴力団対策に携わり、神戸西署の副署長や歓楽街総合対策室室長などを経て2022年から現職。警視。兵庫県出身。


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誌上対談


瀬戸内海東部に浮かぶのどかな淡路島。温暖な気候で農業や酪農が盛んですが、年間100万人もの観光客が訪れ、最近では大手人材派遣会社が東京から本社機能を移転するなど人や物の動きが活発な地域です。この島の治安を守るのが洲本・淡路・南あわじの3つの警察署ですが、今春、洲本警察署・淡路警察署の署長に摂南大の卒業生が就任しました。岡田智博さんと山本達也さんです。ともに剣道部の先輩後輩で、旧知の仲である2人。同時期に同じ島内での署長就任には、特別な縁を感じていると言います。












淡路島の治安は剣道部で守る


ー奇しくも同じ時期に同じ淡路島内の警察署の署長に就任しました。


岡田驚きましたが、かつての同志が隣の管轄にいると思うと心強かったですね。実は、南あわじ署にも剣道部OB がいて、山本署長とは電話で「摂南大剣道部で淡路島の治安を守っていこう」と言いました。

山本淡路警察署の署長はここ数年暴力団対策の経験者が続いていたこともあって、将来的には就任の可能性もあるのかなと思っていました。しかし、岡田署長も同時期に淡路島へ異動とは予想もしていませんでした。特別な縁を感じます。

岡田淡路島は平穏でのどかな街ですが、暴力団の本部がある神戸に近く、油断はできません。署長になったというよりも、この街の安全を任されたという責任感を重く感じています。

山本最近はさまざまな開発が進んでいるため、利権を巡るトラブルやそこに暴力団が暗躍しないかと目を光らせています。

部活動での経験が警察官としての礎に全国初の逮捕と奇跡の生還


ー約30年の警察官歴の中で印象に残っているエピソードを聞かせてください。


山本某球団の私設応援団が、応援歌を自分たちで作詞・作曲したと偽り日本音楽著作権協会(JASRAC)に著作権者として登録していた事件です。権利収入が暴力団の資金源になっている疑いがあり、慎重に内偵捜査を進めました。この事件では「犯罪の事実をどうするのか」が肝要でした。そのため、適用する法律を作った省庁に赴き知識を得るなど地道な作業を続け、全国で初めて、暴力団の資金源を著作権法違反で絶つことができました。

岡田24歳の時、暴力団組員に銃撃されたことが最も印象に残っています。「山一抗争」で暴力団会長宅前をパトカーで警戒していましたが、開いていた窓の隙間から組員に銃を撃ち込まれ、一発が頭部に命中。右目の下、右手の人差し指と中指を弾がかすめました。救急搬送され集中治療室で生死の境をさまよっていた時、脳裏をよぎったのは、大学の剣道部で厳しい稽古をした日々です。「ここで死んだらあかん!」と奮起しました。

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                剣道部の集合写真 前列左から2人目が山本署長、後列右から4人目が岡田署長




ー摂南大剣道部での日々が糧になっているのですね。


岡田瀕死の状態でもあきらめない心を保てたのは、剣道部での経験があったからです。厳しい稽古を続けた4年間が、奇跡的な生還につながったのだと思います。一方で、組員を逮捕できなかったこと、油断や慢心があったことを悔やみました。それだけに、後進には常に「油断大敵」と言い続けています。

山本確かに稽古はしんどかった。けれど、それが今の自分の基礎となっていると感じます。警察学校は、いわゆる「学校」とは比べ物にならないくらい規律も訓練も厳しいです。きつい日々に耐えかねて辞めていく人もいる中でも乗り越えられたのは、剣道部での経験があったからです。

ー当時の思い出について聞かせてください。


山本学園祭で女装し当時流行したドラマ「スチュワーデス物語」を披露しました。たこ焼きの屋台を出したところとても繁盛して、非常に楽しかったです。

岡田会計係をしていたので、たこ焼きの売れ行きが良かったのはよく覚えています。合宿したのも良い思い出です。みっちり練習した後、夜は仲間と夢や希望を語り合ったのです。私にとって剣道部は自分をさらけ出せる場でした。それだけに、当時の仲間とは今でも交流が続いています。

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                           学園祭で(中央が岡田署長)




市民に寄り添う「かっこいい警察官」に強く優しいハートを養い、志を強く

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ー署長として後進に伝えたいこと、取り組みたいことはありますか。


山本我々はどうしても発砲や殺傷など大きな事件に目が向いて、落とし物や騒音問題などは日常茶飯事と捉えがちです。しかし、市民の方々にとってはそうした身近なトラブルこそが一大事件ですので、署員には「市民の方々の困りごとには真摯に向き合い対応するように」と常に言っています。地域住民から信頼されてこそ警察ですし、それが 防犯にも生きてくると思います。

岡田私も署員には市民のために力を尽くせる「かっこいい警察官になろう」と言っています。また、私は若い頃、九死に一生を得ました。当時の事件のことや そこから得た教訓を特に若い警察官に伝える活動は私の使命として、取り組み続けます。

ー学園には警察官を目指す学生・生徒がいます。その後輩たちにメッセージをお願いします。


山本目標を明確に持ってほしいと思います。「何となく」「公務員だから」ではなく、「白バイ隊員になって交通安全を守る」や「人助けをする」など志を強く持つことが大切です。そのために、学生時代には部活動や学業などに励み、警察官としての土台を築いていってください。

岡田学生のうちに、強く優しいハートを養うようにしてください。警察官は凶悪犯罪者を相手にしますから「負けないぞ」という強い気持ちが不可欠です。一方で、道案内や子供が歩道を横断する際の立番など、地域住民に寄り添う優しさも重要です。人としてのあたたかさを忘れないようにしてください。



                                          岡田署長(当時は巡査)らの負傷を報じる号外

活躍する卒業生