File No.36

瀬川 智広准教授

摂南大学 ラグビー部監督・スポーツ振興センター

7人制ラグビーの素晴らしさをお茶の間に
ほぼ男女全試合を実況解説
孤軍奮闘の激務でも充実した6日間

FLOW No.96

瀬川 智広
Profile
せがわ・ともひろ ■1993年大阪体育大学体育学部卒。同年東芝府中ラグビー部(現:東芝ブレイブルーパス)に加入。コーチを経て、2007年監督。2012年7人制日本代表のヘッドコーチ。2017年東芝ブレイブルーパス監督に復帰。2019年同GM。2020年から現職。兵庫県出身。現役時代のポジションはスクラムハーフ。

■ ラグビー放送で解説者

瀬川准教授は2016年のリオデジャネイロ・オリンピックで、7人制ラグビー男子日本代表のヘッドコーチとして福岡堅樹選手らを擁してチームをベスト4に導きました。その実績を買われて東京オリンピックでは7人制ラグビー競技(男子・女子)の日本民間放送連盟の解説者として地上波やBSなどの放送に携わりました。男子は7月26日~28日、女子は同29日~31日の計6日間、味の素スタジアム(東京都調布市)の放送ブースから日本戦以外も含めてほぼ全試合を実況解説しました。

「6日間睡眠もほとんど取れず、へとへとになりましたね」と笑いながら振り返る1日のスケジュールは、朝6時半にホテルをバスで出て、味の素スタジアムで多い日は7試合も実況し、夜の7時ごろに放送が終わると、すぐにホテルに帰ってその日の全試合のビデオ映像やデータをチェック。「リオ大会の時は、専門のデータ・アナリストがいましたが、今回は全て1人でやるので徹夜になることも」。コロナ禍で関係者を隔離し外部との接触を遮断する「バブル方式」のため外出もできず、食事もほとんどをコンビニ弁当で済ませる状態でした。

そんな激務でしたが、目の前で展開する世界のトップ選手らの素晴らしいパフォーマンスには感激。「充実した6日間でした」と振り返ります。スピード感あふれ、一瞬で形勢が逆転し番狂わせも多い7人制ラグビーの魅力を、「大観衆に体験してほしかったとつくづく思います」と話します。残念ながら東京大会で日本代表は男子11位、女子12位に終わりましたが、「コロナ禍で国際試合がほとんどできず、チームとしての経験値を上げられなかったのが残念でした。海外は7人制専門のチームも多く、国内だけで試合が多く組めて切磋琢磨できます。アルゼンチンなどは若手にまず7人制を経験させます。日本も3年後のパリ大会に向けて、7 人制に特化した選手育成が必要です」と強調します。

東京五輪 x 「Team常翔」