中山 学之教授

大阪工業大学 ロボティクス & デザイン工学部 システムデザイン工学科

茶屋町モデルのメタバース
実証実験の舞台を準備
「人」中心のシステム構築目指す

研究最前線

FLOW No.99

中山 学之 教授
Profile

中山 学之 教授

なかやま・たかゆき 1994年慶應義塾大学理工学部物理学科卒。1996年東京大学大学院工学系研究科計数工学専攻修士課程修了。2000年同博士課程単位取得退学。理工学研究所バイオミメティックコントロール研究センター研究員、名古屋工業大学特任教授などを経て、2016年大阪工業大学工学部ロボット工学科(現:ロボティクス&デザイン工学部)特任准教授。2022年から現職。博士(工学)。東京都出身。

最近、よく見聞きする言葉に「メタバース」があります。インターネット上に作られた仮想空間を意味し、VRゴーグルを装着するなどしてゲーム、コンサートなどのイベントや会議に参加することができます。スマートフォンを使う金融サービスなども含み、今後大きな成長が期待されています。中山教授はこの最先端技術を「人間の生活を中心にした社会」に役立てたい、と研究を続けています。

2021年秋、大阪市北区茶屋町で開催された「チャリウッド」で、大阪工大梅田キャンパスの3学科が合同で製作した「VR茶屋町」が公開されました。茶屋町を3Dモデルで再現した仮想空間です。中山教授はこれを舞台に、企業と協力して新たな研究を進めています。「今、社会が変わろうとしており、『いのち輝く』未来社会のデザインをうたう2025年大阪・関西万博は契機になると思います」。各国が多様なメタバースの技術を披露すれば、実社会でも活用の幅が広がると想定。社会の大きな変化に向けてVR茶屋町を「社会実験プラットフォーム」にする計画です。

「例えば、実際の町は車道のため歩道が狭いですよね。本来は人のための車なのに人の方が窮屈になっています。そんな要素を取っ払った社会を形にして、いろいろな人に中で暮らしてもらう。それを現実にフィードバックさせ、本当に住みやすい町として展開できればいい」。より自然な空間とするため、AI(人工知能)で中の住人の表情や動きを制御する研究を進めています。これとは別に、仮想通貨にも利用され、全ての取引履歴が残り改ざんされにくい特性を持つブロックチェーン(分散型台帳)技術を生かし「価格設定に透明性が保て、生産者へ正しい価値の分配ができる通貨システム」も構想しています。「GAFAなど巨大企業に対し、地域社会を大事にしようという世界的な流れが出ている中、原価割れなどで苦しむ漁業者や農業者、流通ドライバーらを助けられないか」との考えからです。目指すのは価格監視ができるシステムの構築です。

ゴーグルを着けて別の世界でアバター(分身)を動かす――。メタバースのそんなイメージとは少し趣が異なりますが、中山教授の研究は「人間の生活を真ん中に」の視点で貫かれています。

研究内容を動画で紹介
https://youtu.be/caPD3HeVop4

現在制作中のバーチャル茶屋町の空間
現在制作中のバーチャル茶屋町の空間

研究最前線