学園広報誌「FLOW」:東京五輪 x 「Team常翔」

7人制ラグビー日本代表として活躍
日本人の俊敏性発揮し、縦横無尽に駆けるラグビーで
番狂わせを演じたい

2016年のリオデジャネイロ五輪から正式種目となる7人制ラグビー(以下、セブンズ)。大阪工大高(現常翔学園高)を卒業した橋野皓介さんと加藤慶子さんは、セブンズの日本代表としてさまざまな国際大会に出場しています。"工大高ラグビー"で得たものや、セブ ンズの魅力などについて2人が語ります。

PROFILE
7人制ラグビー日本代表  橋野 皓介  さん

2006年大阪工大高(現常翔学園高)卒。2010年同志社大社会学部卒。5歳からラグビーを始め、現在はキヤノンイーグルスに所属。ポジションはSO。2013年の香港セブンズで初代表。HSBCセブンズワールドシリーズ東京セブンズ2013などに出場。大阪府出身。

PROFILE
女子7人制ラグビー日本代表  加藤 慶子  さん

2007年大阪工大高(現常翔学園高)卒。2012年法政大キャリアデザイン学部卒。7歳からラグビーを始め、2008年に香港セブンズで初代表。2009年ワールドカップセブンズなど出場。現在は三菱重工業に勤務しながら世田谷レディースで活動。ポジションはCTB。大阪府出身。

厳しくも自主性を尊重する"工大高ラグビー"

橋野

ラグビー好きの父に連れられて、毎年お正月は花園ラグビー場へ出かけるのが我が家の恒例行事でした。そこでラグビーのかっこ良さに一目ぼれしてしまい、5歳からクラブチームに所属しました。小学6年の時に大阪工大高が全国優勝する姿を観て、このチームの一員としてフィールドに立ちたいと夢見ながら育ちました。

加藤

私は兄が入っていたラグビースクールを見学した7歳の時、両親の勧めで自分も通うようになりました。もともと男子に混じって遊ぶ方だったので、いざボールに触ると、1つのプレーで流れが大きく変わることに面白さを感じ、泥んこになるまでボールを追い掛けていました。そのスクールの女子第1号です。

橋野

中学3年の時に日本女子ラグビーフットボール連盟が募集したユース強化選手(高校2年生以下)に合格されたそうですね。

加藤

中学時代はバスケットボールに夢中で、受験勉強の息抜きのつもりで応募したんですよ。合格は「ラッキー」くらいの感覚でしたが、同世代の女子と一緒にプレーできる環境は初めてで楽しく、高校進学後は月1回の頻度で東京へ練習に通いました。

橋野

高校では監督の野上先生に声を掛けられて、ラグビー部に入部されたそうですね。

加藤

フィジカルを鍛えようと、入部を決めました。高校3年の時でした。男子との体力やスピードの違いに慣れるまでは戸惑いましたね。コンタクトプレーの時は1年生と組んで、ついていくために必死でした。女子のシャワー室がなかったので、水道の蛇口で汗や泥を流したり。 当時の主将や部員から受け入れてもらえたから続けられたんだと思います。

橋野

男子に対しては野上先生の指導はとにかく厳しかったですよ。あまり細かいことは指摘しないで、「真っすぐ走る、真っすぐ当たる」といった基本の指導を徹底していて、全くぶれない。でも、いざ試合になると、選手たちに任せてくれるんです。生徒の自主性を尊重するのが"工大高ラグビー"の良さです。

俊敏性を生かしセブンズで強豪国に勝ちたい

突破を図る加藤さん(2014年3月、香港女子セブンズ・アイルランド戦)写真提供:大友信彦氏

加藤

大学を卒業後は、三菱重工業にフルタイムで勤務しながら東京・世田谷のクラブで活動しています。ラグビーに専念できる処遇ではないので、仕事もラグビーも忙しい時期は両立が大変でした。今年6月からは職場の配慮で総務部署に異動となり、今はラグビーに集中しやすい環境になりました。

橋野

主に午前中は仕事をして、午後から練習です。ラグビーの活動が忙しい時は毎週遠征が続きます。

加藤

お互いに今はセブンズの日本代表ですね。初めて選ばれた時の気持ちはいかがでしたか。

橋野

うれしさ以上に責任を果たさなくてはいけないという気持ちの方が強かったですね。15人制とは別のスポーツと言えるくらいの違いがあり、しばらくは頭の切り換えが難しく、体が慣れるまで時間がかかりました。

加藤

人数が少ない分、スペースが広いセブンズは自由な発想で動けるから、スピード感が違いますよね。

橋野

スクラムを組んでもすぐ横に展開し、縦の突破でボールがよく動きます。トライのシーンが多くなるので観客をわくわくさせる、そこがセブンズの特長でもあり魅力だと思います。
試合時間が80分の15人制では流れが行ったり来たりするけれど、14分と短いセブンズは一度流れをつかんでしまうと主導権を握りやすく、番狂わせも起きやすい。さらに日本人特有の俊敏性を生かして強豪国に勝てる可能性があります。

加藤

私のポジションのセンター(CTB)は突破力とディフェンス力が必要で、動き続ける持久力には自信があります。フィールドの端にいたはずなのに、次のポイントにまた現れるから、女子の国内リーグで私は「ゾンビ」と呼ばれています。
プレー中はどういうことを心掛けていますか。

橋野さんの逆転トライの瞬間(2014年3月、香港セブンズ・ロシア戦)写真提供:大友信彦氏

橋野

どうしたらチャンスが生まれるかを考えながらアシストすることですね。ボールを持ってかき回して相手を混乱させ、足の速い選手にいい形でパスしてトライさせます。

代表の合宿中に、日本が勝つために大事なことをメンバー同士で話し合ったんですけど、体格差を埋められなくても、走り回ることで有利な試合運びができるという意見で一致しました。ショートダッシュを増やすとか、タックルして転がっても、すぐ起き上がって走り出すといった感じです。男子も女子も、泥臭い粘りのプレーでどんな相手にも食らいつくことが重要だと考えます。

全力を尽くすことが選手にできる最大の恩返し

加藤

2010年の15人制のワールドカップ予選の時、キャプテンから「感謝の気持ちはありがとうという言葉でしか伝えられない。でも、それ以上の感謝を伝えたいなら、結果を添えるべきだ」と言われたことが印象に残っています。選手は結果でしか恩返しができないから、勝ちにこだわるべきだと。周囲の支えがあったお陰で好きなことに打ち込めるわけですからね。

橋野

人との出会いは大事ですよね。私の転機は高校2年のポジションチェンジです。野上先生に言われて、ボールをバックス(BK)に配球するスクラムハーフ(SH)から司令塔のスタンドオフ(SO)へのコンバートでした。その試合で存分に動き回ることができて、ゲームメークする面白さを体感し、これは自分のポジションだと実感しました。今はBKのいくつかのポジションをこなしていますが、型にはまることなく、伸び伸びプレーしようという気持ちは今も変わりません。野上先生の指導のお陰です。

加藤

私も野上先生にはお世話になりました。常翔学園高の先生はすごく熱心な方ばかりなので、後輩の皆さんも何かあれば相談するといいと思いますね。高校3年間はあっという間ですから、勉強以外のものにも力を注いで、悔いなく過ごしてほしいです。

橋野

自分自身も後輩たちに頑張っている姿を見せたいと思います。アジア大会やセブンズワールドシリーズなど、目の前の大会で結果を出すことが一番大事ですが、その延長線上にあるオリンピックも意識しています。オリンピックに出ると人生観が変わると言いますし、リオデジャネイロ五輪ではセブンズの12人に選ばれたいですね。東京五輪の時は33歳なので、選手のピークは過ぎているかもしれませんが、その時まで現役であり続けたいです。

加藤

私は東京五輪の時、32歳です。予選なしで出場権が与えられるので、代表にさえなれればオリンピアになれるという、こんなチャンスはありません。後輩たちの目標となり、切磋琢磨し合えるような、良きライバルでいたいです。

メインコンテンツに戻る

Copyright © Josho Gakuen Educational Foundation,2015.All Rights Reserved.