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page44

FLOW No.104

宇宙のロマンに魅せられて
惑星の探査や移住に貢献できる研究を

大阪工業大学大学院 電気電子・機械工学専攻 博士前期課程1年

堀田 新さん

「キラリ*Josho note」のページ44は、大阪工業大学大学院の堀田 新さんです。今回も常翔学園のキャンパスでキラリと輝く学生を紹介します。

金星で電力供給 NASAからの超難題にも挑む

金星で60日間滞在できるだけの電力を供給するシステムを設計せよ。

これは、NASAなどが公開している宇宙・地球環境・衛星関連のデータを使ってアプリを開発する世界同時イベント「Space Apps Challenge2022」で提示された課題です。この超難題に挑んだのは大阪工大のチーム「Seekers」で、堀田さんはリーダーを務めました。金星は、直径や重さをはじめ、地殻やマントルなどの内部構造も地球とほぼ同じですが表面温度は460℃と非常に高温の惑星です。そのため堀田さんらは、ナトリウム(Na)と硫黄(S)の化学反応を使った電池で、300℃以上で動作するNAS電池®に着目しました。直径9cm、長さ50cmの単電池1本なら1日10分の稼働で60日間保持できると提案し、審査員特別賞を受賞しました。

堀田さんが宇宙への憧れを抱いたのは中学生の頃です。アニメをきっかけに、将来は宇宙開発に携わる仕事がしたいと思うようになりました。大学1年の冬に発足した機械工学科宇宙プロジェクトに入ってからは、異なる2つの推進剤で打ち上げるハイブリッドロケットや模擬衛星の開発をしてきました。主に担当したのは、ロケット内部に搭載したパラシュートを外に放出するドアのラッチ機構(※)です。打ち上げ後、最高到達点に達した時に放出されるよう設計しますが、そう簡単には成功しませんでした。「思ったように出てこなかったりサーボモーターが誤作動を起こしたり、費やした時間や労力と成果は必ずしも比例しませんでした」。それだけにうまくいった時の喜びはひとしおでした。
扉が風などで開いてしまわないようにするための閂(かんぬき)。

現在は、研究室にこもって修士論文に注力しています。探査機が月や火星に着陸した時に巻き上がる噴流のメカニズムや範囲、量などを研究しています。砂などの物質を採取する際はもちろん、探査基地などを建設する時にも役に立ちます。とはいえ、宇宙はまだまだ謎だらけで、金星のように今の技術では近づくことさえできない星も多く存在します。大学院を出た後も研究を続け、宇宙開発に貢献したいと夢を語る堀田さん。「人類が宇宙へ旅したり移住したりする時に、自分の研究が生かされることがあれば、これほどうれしいことはありません」。宇宙のロマンに魅せられた瞳がキラリ輝いています。

ラッチ機構で用いるサーボモーター。指示通り位置や速度を制御することができる

キラリ*Josho note