FLOW No.112

- Profile
- ささ・けいご 2003年摂南大学法学部法律学科卒。大阪国税局国税調査官などとして17年間勤務後、2020年9月に税理士として独立。21年6月REBFLEET設立。集客目的で始めたSNSが評判を呼び、フォロワー数が計34万人に成長。その後、税務顧問業を完全撤退し、SNSでお金や税金、ビジネスにまつわる情報を発信中。和歌山県出身。
摂南大卒業生の笹さんは、大阪国税局の元“すご腕” 調査官です。中学生の頃は地元の和歌山では野球選手として注目され、学校の成績も学年でトップクラスでした。しかし、その後は伸び悩みプロ野球選手の夢を諦め、親への反発もあって「高校では一時ぐれてしまいました」と明かします。
担任教諭のアドバイスもあって摂南大に入学した笹さんでしたが、仲間との遊びに明け暮れた1年を過ごしていました。しかし、2年になってアルバイトを通じて労働の対価は自分が思っていたより厳しいと知り、「世の中の現実に目が覚めました」と言います。就職氷河期だったこともあり、独立して稼げる税理士資格を目指すことに。税理士事務所の勤務経験がある母親に「国税局に入ったら将来税理士資格も取りやすいのでは」と言われ、1 日12時間の猛勉強を始め、見事に公務員になりました。
法学部で学んでいた頃の笹さん(前列左端)と同級生
●日本ビジネス書新人賞で大賞
大阪国税局の法人課税部門に配属された笹さんは、各地の税務署で企業を相手に17年間で約1000件の調査を担当。調査官平均で不正発見率は約2割ですが、笹さんは実に7割を達成しました。「会社の将来を一緒に考え寄り添うことで信頼を得ると、社長が進んで不正を明かすようになります」という驚くべき手腕です。人の心理や話術を徹底的に研究したことは、税理士事務所開業後に「じてこ*先生SASA」の愛称でSNSを使って始めたお金や税金、ビジネスに関する情報発信が大バズリしたことにつながっています。今ではTikTok15万人、Instagram12万人、YouTube4万人のフォロワーを誇ります。そんな人気のSNSの集大成が、日本ビジネス書新人賞で大賞となった初の著書『あの~~~、1 円でも多くお金を残すにはどうしたらいいですか?』(すばる舎)です。主婦、学生からサラリーマンや 経営者まであらゆる疑問に丁寧かつ明解に答えて支持されていますが、公平・公正の社会正義を貫くその姿勢も信頼の根拠です。子供たちの教育の底上げや会計業務に精通した人材の育成などの事業にも力を注ぐ笹さん。後輩へは「自分の可能性に蓋をせず、未来の自分に期待を」とアドバイスを送ります。
*注【じてこ】=和歌山弁で自転車のこと