- 大林組
- 内林 隆文 さん
- 大林組
- 徳永 純一 さん
- 大林組
- 植村 章浩 さん
- 学校法人常翔学園
- 西村 泰志 理事長
- 大阪工業大学
- 井上 晋 学長
井上学長:本学の卒業生が大阪・関西万博の建設に携わっていることを誇らしく感じます。学生たちも先輩の偉大な仕事に触れ、大きな刺激を受けたことでしょう。本日は見学の機会をいただき、ありがとうございました。ところで、皆さんは建築学科のどの研究室の出身ですか?
内林さん:篠塚宏三研究室(計画系)で1995年卒の内林隆文です。2025年大阪・関西万博ではパビリオンワールド(PW)北東工区の現場所長を務めており、大屋根リングとその他21施設の建設に携わっています。
徳永さん:林暁光研究室(構造系)で2004年卒の徳永純一です。博覧会協会発注の海外パビリオンの現場所長を務めています。
植村さん:同じく林研究室で2006年卒の植村章浩です。大阪本店建築事業部の大阪関西万博室課長を務めており、PW北東工区、シグネチャーパビリオン「Better Co-Being」、迎賓館を担当しております。大林組には大阪工大の卒業生がたくさん在籍しており、本店幹部や現場所長として活躍している人も多数います。
徳永さん:大阪工大出身者は先輩後輩の絆が強いです。私自身、先輩にとてもかわいがってもらいました。部下に後輩が来ると頼もしく感じます。仕事の期日を守ってくれるからです。大学は課題の提出期限が厳しく、特に製図は1秒でも期限を過ぎると原則評価してもらえませんでした。その時の体験が今の仕事に生きていると思います。
大屋根リング建設工事で、6月26日、最後の床材取り付けが完了し、基本構造体(木架構)が完成=大林組提供
植村さん:学生時代といえば、西村理事長に教えていただいた構造力学の授業が印象深いです。
徳永さん:構造力学が分かっていないと現場で仕事になりません。先生の教えが今もためになっています。
西村理事長:卒業生からそんな声を聞くとうれしいです。学生からは「構造力学は難しい」とよく言われますが、力のつり合いを考えるだけです。先ほど内林さんからリングの貫接合に関する説明が図解であり、力学的な工夫がよく分かりました。ところで、大阪工大の授業で鍛えられた経験は社会に出てから強みになっていますか?
徳永さん:大阪工大出身者は図面作成など実技の評価が高く、メンタルが強い人も多いと言われています。
植村さん:手描きが多く、つらい学生時代でした。今はデジタルツールなどと併用ですが、改めて手描きの大切さや良さを実感しています。
西村理事長:一級建築士の製図試験は手描きです。また、基礎を身につけるために手を動かすことは大切です。大阪工大の卒業生は基礎がみっちりたたき込まれているので、企業から高い評価を受けていると思っています。
井上学長:建築学科では製図は今も手描きを大切にしています。それにしても、万博会場を初めて訪れて圧倒されました。予定より早くつながったリングをはじめ、パビリオンも着実に建設が進んでおり感動しました。工期に合わせてきちんとやり遂げることができるのが日本の建設業界の特長であり、すごいところです。いろんな会社、いろんな分野の人が力を合わせて造り上げている素晴らしさを、会場に来た人にも感じてもらいたいです。
内林さん:リングは3工区に分かれて3つのJ V が実施設計と施工を担当していますが、普段はライバルであるゼネコンが意見交換を行い、アイデアを共有して一つの目標に挑んでいく。通常の現場では考えられない面白さがあります。
徳永さん:万博には多くの所長がいるので、やり方を学んだり相談できたりして、貴重な経験ができています。今後の仕事の大きな糧になると感じています。
内林さん:大林組が担当するリングの基本構造体が完成した時の喜びはひとしおでした。多くの人の協力でやり遂げられたことを祝い、最後の床材の1枚をはめ込む時には吹き流しを付けてセレモニーにしました。万博工事はプレッシャーもありますが、会社を代表して、大阪工大の卒業生として、最後までしっかりやりきりたいですね。
植村さん:万博会場では建築基準法の一部が適用除外されているので、デザイン的に凝った建物を造ることができます。多彩なコンテンツを楽しむと同時に、建築にも目を向けて関心を持ってもらいたいです。
井上学長:建築と土木、さまざまな分野が力を合わせて造りあげている空間を多くの人に体感してもらいたいですね。本学からも宣伝していきますよ。
西村理事長:大阪工大の卒業生の頑張りを見て、学園も一緒に万博を盛り上げたいと感じました。今日は楽しい話をたくさんありがとうございました。