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特集 第99回全国高校ラグビーフットボール大会 常翔学園高校 全国 3位 花園で躍動!

FLOW No.87

特集 第99回全国高校ラグビーフットボール大会常翔学園高校 全国3位
花園で躍動!

1万8500人がどよめいた準々決勝
京都成章高戦でロスタイム劇的逆転勝利

第99回全国高校ラグビーフットボール大会が12月27日~1月7日、東大阪市花園ラグビー場で開催され、常翔学園高は優勝した2012年度以来7大会ぶりの全国3位(ベスト4)という好成績を収めました。特に終了間際のロスタイムに劇的な逆転トライを決めた準々決勝の京都成章高戦は、ラグビーファンの記憶に長く残る名勝負になりました。

Bシードで初戦となった大分東明高(大分)との2回戦は、モールでプレッシャーをかけて計13トライを奪い、83―5で圧勝。3回戦は同じBシードの中部大春日丘高(愛知)に後半4点差まで詰め寄られる苦しい戦いでしたが、ゴールラインを背にした必死の防御で残り5分を耐え抜きました。

今大会のハイライトとなった1月3日の準々決勝。花園のスタンドは立ち見が出るほどの満員でした。相手は近畿大会を制した強豪の京都成章高。平均体重が100キロ近く、大学チーム並みのFW陣を誇ります。野上友一監督の作戦は「前半を耐えて後半勝負」。前半はキックを多用し、体の大きな相手に体力を消耗させて、後半一気に攻める狙いでした。前半を終えて8-19の11点差でしたがそれも想定内で、「チーム全員が『これなら行ける』と思っていた」(為房慶次朗主将)という後半に。思惑通り後半16分に俊足のFB吉本匠希選手がトライと自らキックも決めて逆転しました。ところが「あれは想定外でした」と野上監督が振り返る後半24分、再び逆転のトライを許して4点差に。残り時間も少なく勝負あったかと思われましたが、そこから「このチームは本当にギリギリまで諦めない」(野上監督)という持ち前の驚異的な粘りを発揮。後半30分を過ぎたロスタイム。プレーが途切れれば敗退という状況でした。パスミスも許されない中、自陣22mからボールをつなぎ残り30mまで迫ると、左中間ラックから左に展開。最後はWTB生駒創大郎選手が、ゴール直前で軽快なステップで内側に鋭く切れ込み、京都成章高ディフェンスの2選手を一瞬に振り切って逆転のトライに成功しました。手に汗を握って見守った約1万8500人の観衆から大きなどよめきが起き、キックも決まって27-24で勝利するとスタジアムは歓声と拍手に包まれました。

5日の御所実業高(奈良)との準決勝は、善戦するも7-26で敗退しましたが、野上監督は「力を出し切ってくれ、本当に楽しい大会になりました」と大きな成長を見せたチームをねぎらいました。

全国高校ラグビー大会
これまでの戦績
優勝・・・・・5回
準優勝・・・・2回
3位・・・・・14回
ベスト8・・・9回
ベスト16・・・4回
(出場は計38回)
2019.12.30 Mon. 大分東明高戦
2020.1.1 Wed. 3回戦 : 中部大春日丘高戦
必死の防御でゴールラインを守り抜いた
   
ノーサイドで勝利を喜ぶ選手たち
1.3 Fri. 準々決勝 : 京都成章高戦
観客で超満員の花園ラグビー場スタンド
1.5 Sun. 準決勝 : 御所実業高戦
堅い守備を誇る御所実業高からトライを奪う
Interview

超満員の花園に興奮

やはり京都成章高戦で生駒のトライでベスト4が決まった瞬間は忘れられません。今大会はけが人もなく誰でも試合に出られる万全のチーム状態だったのが、あのトライにつながったのだと思います。W杯をしのぐ超満員の花園のスタンドにも興奮しました。春は弱いチームでしたが、主要メンバーを集めて率先して声を出してみんなを引っ張っていこうと話し合い、夏合宿あたりからチームに粘りが出てきました。これまで支えてくれた父母は心のよりどころで、感謝しかありません。野上監督は間違ったことをしたら問答無用で叱られる怖い存在ですが、優しい時とのギャップが魅力です。

為房 慶次朗 主将(PR)=3年

人生で一番幸せな瞬間

京都成章高戦の逆転トライはこれまでのラグビー人生のベストトライで、一番幸せな瞬間でした。チームのみんながつないでくれたボールなので「絶対に決める」という思いでした。満員の花園のスタンドを見て最初は緊張しましたが、試合が進むにつれて緊張が興奮に変わっていきました。野上監督からはいつも「足が遅い」「不器用だ」と言われ、なにくそと頑張ってきました。京都成章高戦の新聞であのトライを褒めてくれているのを読んでうれしくなりました。スタメンとリザーブを行ったり来たりの自分の悩みを聞いてくれた父母が一番の頼りでした。

生駒 創大郎 選手(WTB)=3年

ハーフタイムの目の色が違った

京都成章高戦は前半負けていましたが、ハーフタイムの全員の目の色がこれまでと違っていて「これは負けへんな」と直感しました。1、2年生の時はスタンドからの応援で、今大会は初めて選手と同じグラウンドに立てたのでより選手みんなの気持ちと一体になれました。父母とマネジャーの先輩・後輩に感謝したいです。マネジャー同士は学年を越えた姉妹のような存在です。マネジャーにとっては野上監督よりも厳しく指導を受けた副部長の平池三記先生(数学科)が怖い存在ですが、花園最後の試合の後に抱きしめてくれて涙が出ました。

桶谷 日和 マネジャー=3年
Message

ラグビーW杯が刺激 チームが大きく成長

春に新チームができた時は弱かったのに、大きく成長しました。きっかけは昨年日本で開催されたラグビーW杯でした。W杯期間中は練習がある日でも、全国どこでも観戦に行ってもいいと言いました。世界のトップのプレーを実感した影響はすぐに出ました。「あんなプレーをしてもいいんだ」などと刺激を受けて、W杯が終わった後の1カ月ほどで明らかに選手に積極性が出て成長したのです。大分東明高戦でフィジーの留学生選手にひるまなかったのは、W杯で外国チームの戦いを見ていたことも大きかったですし、中部大春日丘高戦の最後の5分を耐えられたのは、W杯の日本代表がスコットランド戦で最後を守り切った場面から学んだことを、すぐに実践した結果です。京都成章高戦の逆転トライは「見えないミスをなくしてチームプレイを崩すな」と言い続けてきたことが生きました。次の100回大会は当然「出るぞ」と言ってきました。1、2年生は為房主将たちのチームが花園で存在感をアピールするのを目の当たりにして刺激を受けたはずです。

野上 友一 監督(社会科教諭)