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産業社会を支えるスペシャリストを目指す
2013年度、難関の弁理士試験を突破

謝 博超   さん   園田 智博   さん

謝 博超さん、園田 智博さん

PROFILE
謝 博超(左)11年3月大阪工大知的財産学科卒、同大学専門職大学院知的財産研究科に早期進学し、13年3月修了。同年4月から原謙三国際特許事務所に勤務。大阪府出身。
園田 智博(右)09年3月大阪工大知的財産学科卒、同大学専門職大学院知的財産研究科に早期進学し、1 1 年3 月修了。滋賀県出身。

2013年度の弁理士試験最終試験を突破した園田智博さんと謝博超さんは、大阪工大知的財産学部卒業生として、初の合格者です。弁理士は弁護士・公認会計士などと並ぶ最難関試験であり、2013年度の受験者6780人のうち、最終合格者は715人。現在、謝さんは原謙三国際特許事務所に勤務しており、園田さんは企業の知的財産部への就職を目指して活動しています。難関を突破した経験を踏まえた2人は、「学生時代から高い目標を持ち、夢を実現してほしい」と後輩にエールを送ります。

多彩な事例研究から「知的財産とは何か」を学んだ学生時代

園田

知的財産に興味を持ったのは高校生の時です。違法コピーで作られた映画や音楽などのソフト、いわゆる海賊版問題のニュースを見て著作権について知りたいと思いました。

私は父が企業の知的財産部に勤めていたことがきっかけです。大学に入ってみると、事例に基づく授業が多くて興味が深まりました。日用品や文房具など特許を得たものを題材に特許明細書から技術の内容を理解する「技術文献読解演習」などが好きでしたね。

園田

商標権侵害事件の判例から類似判断するなどですね。「知的財産とはどういうものか」をイメージしやすい授業がたくさんありました。

図書館も資料が豊富で良かったです。特許を理解するにはテクノロジー系の知識を身につけなくてはいけないので、空き時間は科学技術関連の文献に目を通したり、工学部の授業も聴講するようになりました。

園田

テクノロジー系の知識は大事ですよね。3年に特許事務所のインターンシップを体験した時、出願された特許を無効とする無効審判の請求書作成を任されたんです。先行技術を調べていると、実務をこなすには理系の知識が必要だと痛感しました。これがないと、弁理士試験を突破するのも大変だけど、受かってからはもっと大変なんだろうと思いましたね。

大学院に進学しても、社会人学生の人たちは知識も経験も豊富。判例の分析結果を発表しても、先生と一緒に鋭い突っ込みを入れてくるんです。すごいなと思いました。

園田

大学院での学びは専門性が高かったですね。双方向型の授業で積極的な態度を求められるし、発言機会も多い。必然的に調べることも増えました。

先生方にも「社会に出た時に苦労しないように、最低限の知識は身につけておきなさい」と言われたことを思い出しますね。

つらい受験勉強も目標と仲間があれば乗り越えられる

園田

2人とも専門職大学院に早期進学しました。私は学部、大学院での勉強を基礎に、予備校で本格的に弁理士試験の勉強をし、5回目の受験で最終合格です。一次の短答式試験に合格したのは2011年、二次の論文式(必須)は3回目で合格です。

私は初めて短答式に合格したのは3年の2010年、論文式(必須)は2012年に合格しました。この短答式の合格が自信になって、本気で弁理士を目指そうと思うようになりました。勉強する時に心掛けたのはメリハリをつけること。平日は朝から大学院の自習室で勉強し、週末は休むようにしました。

園田

やっぱり大変なのはモチベーションの維持ですね。なにしろ弁理士は「合格まで平均5.8年」といわれる資格。準備期間を入れると、7年間勉強するわけですから。

そうですね。予備校に行った理由は論文試験の勉強のほかに、同じ目標を持つ仲間をつくりたいと思ったのもあります。大阪工大でも「弁理士受験会」に入っていました。弁理士を目指す人たちで運営していて、短答式試験対策の講座を利用できたのは良かったです。

園田

大学に国家試験受験料の補助制度があったことも助かりました。思い切ってトライしてみようという気持ちになりました。いざ受けてみると、支えてくれている家族のためにも頑張らなくてはいけないという気持ちになり、真面目に勉強するようになりました。

最終発表の時は、合格した喜びより勉強から解放されるうれしさの方が大きかったです。お世話になった先生には「合格するか、あきらめるかのどちらかだ」と言われていたし、合格するまで頑張る覚悟を決めていました。

私は前の年に論文式に受かっていたので、口述式も何とかいけるんじゃないかと思い、最終合格の実感はあまりなかったです。それだけ論文式が長く苦しい道のりでした。今は、あの時あきらめなくて良かったという気持ちでいます。

専門性を高め、世界で通用する弁理士になりたい

園田

謝さんは2013年4月から特許事務所に就職されたんですよね。どんなお仕事をされているんですか。

商標調査や出願手続きを主に担当しています。商標調査については先行商標との類否判断、識別性の調査をして調査報告書を作成。出願手続きについては、クライアントの商品等を適切に把握して出願書類を作成。海外の企業と英語で業務の連絡を交わすこともあります。

園田

英語でやり取りですか。仕事で苦労されていることはありますか。

難しいなと思うのはコミュニケーションの部分ですね。事務所内で情報共有できていないとお客様と意思疎通ができないので、日ごろのコミュニケーションには気を使っています。

私の所属している部門の強みが商標調査ということもあり、当面の目標は質の高い調査報告書を迅速に作成できるようになることです。これにより商標の本質も理解する力がつきます。調査報告書は商標出願を希望しているお客様のところに届くわけですから、その商標の重要度等も考慮しつつ、お客様のご希望に最大限添えるように仕上げなくてはなりません。今は最終原稿のレベルまで仕上げるためには上司のチェックが必要ですが、早く自力でやれるようになりたいです。

園田

私は企業の知的財産部に入りたくて面接を受けている最中です。実務が始まった時に備えて英語や情報処理などの勉強もしています。英語はTOEICで、海外の書類を読解する能力を伸ばすためです。情報処理については基本情報技術者などの資格を取るつもりです。目標のある方が、モチベーションが上がりますからね。

目標を持つって大事ですよね。弁理士試験にしても同じで、目標があることでやる気になれます。だから後輩の皆さんも学生時代から高い目標を持ってほしいと思います。弁理士最終合格とは違う目標でもいいから、「自分はこれになってやる」という意気込みを持って臨むことが大事。私はそれで目標に到達できたし、試験合格によって自信もつきました。

園田

難関だからといって尻込みすることなくチャンレジしてほしいですね。家族のサポートも必要になるので、目指そうといってもなかなか踏ん切りがつけられないかもしれませんが、チャレンジするなら早めの方がいいと思います。実務に必要な勉強は一生続くので、特許関連で世界に通用する弁理士を目指して励みます。

私は将来、商標に関する訴訟や審判などの仕事にも携わりたいと考えています。大手の特許事務所はスタッフの担当分野が専門化しているので、スキルを磨いて職務を全うできるようになりたい。自分はこれだといえる分野のスペシャリストを目指して精進します。

【TOPICS】

12月7日に大宮キャンパスで合格体験談が実施され、もう1人の合格者、高岡健さん(左、専門職大学院知的財産研究科2010年3月修了)も参加し、在学生に受験勉強の苦労などを話してくれました。3人が所属し勉学に励んだ「弁理士受験会」は、同大学の学生、大学院生および卒業生で弁理士試験の合格を目指す人が自主的に運営している団体で、所属メンバーは大学が提供する弁理士試験受験特別講座を受講することができます。さらに同大学専門職大学院を修了すると短答試験の一部や特別研究論文(修士論文)で論文(選択)試験の免除を受けることができます。

2013年度弁理士試験の合格者の平均年齢は38.9歳ですが、謝さんは23歳(合格者715人中12番目の若さ)、園田さんは25歳、高岡さんは29歳での合格と、充実した支援体制が成果に結び付いています。

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