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2022.10.17

◎常翔歴史館が学園創立100周年記念シンポ
「大大阪」時代のまちづくりの魅力を議論

 常翔歴史館(松浦清館長)は9月11日、大阪工業大梅田キャンパスOIT梅田タワーの常翔ホールで学園創立100周年記念常翔歴史館特別企画展シンポジウム「大阪の都市形成過程と大阪人気質(社会・文化の変遷を中心に)」を開催しました。「大大阪」と呼ばれた大正末期から昭和初期にかけての大阪市の発展やにぎわいを記録した貴重な映像も上映され、事前予約した123人の聴衆は1時間半のシンポジウムに熱心に耳を傾けました。
 パネリストは美術史家で近代大阪の文化に詳しい橋爪節也・大阪大総合学術博物館教授、大阪の近代史を研究する船越幹央・大阪歴史博物館学芸員、大阪工業大副学長で都市計画が専門の岡山敏哉・建築学科教授の3人で、松浦館長がコーディネーターを務めました。
 シンポジウムは最初、安井喜雄・神戸映画資料館館長提供による1930年前後に撮影された「大阪百景」などの貴重な映像を、パネリストの船越学芸員の解説とともに鑑賞。主な場面は、大阪城天守閣の復興と大阪城公園の開園、多くの百貨店や大阪歌舞伎座などの立ち並ぶミナミの繁華街とネオン輝く夜景、初代通天閣のころの新世界のにぎわい、個性豊かな多くの近代建築や橋が美しい中之島周辺の景観、劇場や大浴場・遊園地などのあった大娯楽施設「市岡パラダイス」、道頓堀川を中心に多くの飾り舟を浮かべた水都祭。それらの映像は聴衆にはほとんどが初めて目にするものですが、高齢者の中には懐かしさから食い入るように見る人もいました。
 続いて大大阪時代のまちづくりについて、当時の関一市長や学園の初代理事長・片岡安らが都市計画を推進し、広大な公園・緑地や中之島などの美観地区などに力を入れたと岡山教授が解説。「第一回全国都市問題会議に出品された大大阪緑地理想計画図では緑地面積の割合が当時のヨーロッパの都市に匹敵していました。しかし、関東大震災や満州事変などを経験する中で、大阪が日本の経済や工業を担う役割が高まると、その理想はしぼんでいきました」と驚きの歴史を紹介しました。
 続くパネルディスカッションでは、「コテコテの庶民文化という印象の強い大阪ですが、一方で官が高尚な文化を支えようとしたことを忘れてはいけません。当時の関市長らは『都市は美しくなければならず、文化施設が必要』という理想を持っていました」(橋爪教授)、「大大阪の時代に作られた美観地区の多くの橋を見るとデザインが1つ1つみな違います。技術だけでなく意匠面の美しさを求めたことが分かります」(船越学芸員)、「空中浄化運動や緑化運動など、まちづくりから生まれた文化もありました」(岡山教授)、と3人のパネリストから大大阪時代の都市形成と大阪文化の新たな魅力が語られました。

*OIT梅田タワー2階の201・202セミナー室ではこのシンポジウムに関連した常翔歴史館の特別企画展「大阪まちづくりの軌跡と文化~大大阪を中心に~」が
 9月10日から17日まで開催されました。また9月17日から12月4日まで秋季特別企画展「国宝を護る仁和寺霊宝館:仁和寺名宝と片岡安の遺産」を学園創立
 100周年・仁和寺霊宝館開館95周年記念事業として、真言宗御室派総本山仁和寺(京都市右京区御室大内33)で開催しています(10月10日を除く月曜日休
 館。大人500円、高校生以下無料)。


                    
                    

シンポジウムのパネルディスカッション

                    
                      

左から松浦館長、橋爪教授                   左から船越学芸員、岡山教授