ぜんめいステロイド耐性に関わる 2 型自然リンパ球摂南大学 薬学部 薬学科なべ・たけし ■1988年京都薬科大学薬学部薬学科卒、1990年同大学院薬学研究科博士前期課程修了。米・アラバマ大学バーミングハム校微生物学教室客員研究員、京都薬科大学講師、准教授などを経て、2014年から現職。博士(薬学)。大阪府出身。(図1)ぜんそくは気道に慢性的な炎症が起きて空気が通りにくくなる08August, 2025 | No.112 | FLOW ぜんそくはアレルギーなどにより気道に慢性的な炎症が起きる病気です。炎症が繰り返し起きることで気道壁や気道収縮に関わる筋肉が肥厚し、空気が通りにくくなるため呼吸する時に「ゼーゼー」「ヒューヒュー」といった喘鳴が出るようになります(図1)。 ぜんそくの主な治療としては、ステロイドの吸入です。ステロイドは気道粘膜から吸収されると細胞内の受容体にくっつき、炎症を起こす物質の産生を抑えます。 ところが、ステロイドを吸入しても効果が出ない難治性ぜんそく患者が意外に多いことが近年分かってきました。患者の割合にすると5〜10%で、その人たちには代替の薬がありませ ん。残 念 な がら、今でもぜんそくにより亡くなる人がわが国では年間で1000人ほどいます。 難治性ぜんそくについては、近年、肺に存在する2型自然リンパ球という白血球に「ステロイド耐性(ステロイドが効きにくくなること)」が付いて重症化することが分かってきました。しかし、その耐性を獲得するメカニズムは詳細には解明されていません。 私は1990年代から実験動物を使ったぜんそく治療の研究に取り組み、近年「ステロイドの効かないぜんそく」と「効くぜんそく」のマウスモデルを確立して、それらの違いを遺伝子レベルで調べてきました。研究に使うマウスは人工的にぜんそく症状にしています。最初に腹腔内に卵白アルブミンを3回投与。その後、卵白アルブミンを肺の中に投与するのですが、ステロイドの効くぜんそくにするには低用量(5μg)で、効かないぜんそくにするには高用量(500μg)で投与します。ステロイドの効くモデルではステロイドを与えると症状を落ち着かせることができますが、ステロイドの効かないモデルではステロイドで改善できず、気管支上皮が厚みを増したり、粘液が過剰に分泌されたり、気道が線維化したりしてどんどん悪化していきます。奈邉 健 教授
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