常翔学園Flow111号
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内視鏡モニターロボット(鉗子)内視モニ鏡ターすき まいんこうとう 一方、内視鏡ロボットは、神戸大医学部附属病院耳鼻咽喉・頭けい ぶ頸部外科や大阪大大学院基礎工学研究科との共同研究です。「経外❶従来の鉗子を装着できます❸テレオペレーション(遠隔操作)も可能❺すばやく術野を展開できます❷安定したピボット操作ができます❹スイッチ操作が可能❻微細なモーター駆動で臓器をけん引できます05FLOW|No.111|May, 2025に気づきにくく、導入には億単位のコストがかかるため大規模病院以外は対応しづらいという課題があります。 私たちのグループが研究を進めている手術助手ロボットは、滅菌した場所で、手洗いをして手指衛生を保った執刀医が両手で術具を持って手術をしつつ、必要に応じて助手ロボットのアームを操作します。人のスキルを超えられるものではないので良性疾患が対象ですが、目の前に患者さんがいるので執刀医は容態の変化を敏感に察知できますし、システムは小型なので比較的安価に製造できます。かん し現在、開発しているロボットには、鉗子ロボット(図1)と内視鏡ロボット(図2)があります。 鉗子とは、手術器具の1つです。はさみのような形をしていて、体の器官や組織を挟んだり、圧迫したりするのに使います。臓器を「仕上がり良く」きれいに切開するには、鉗子で臓器を左右からぴんと引っ張った状態にすることが欠かせません。通常は助手役の医師が引っ張るのですが、執刀医がロボットを使って鉗子で引っ張る作業をこなせば、1人で執刀と助手ができます。臓器を引っ張る力や速度、精度、動作範囲などを踏まえて、設計は以下のような観点から取り組みました。①執刀医が鉗子を自在に動かせること②執刀医が作業領域を広く使えるよう小型軽量化③ロボットの置き場所を検討しやすいマニュアル駆動ができること④臓器を引っ張ったまま維持できるモーター駆動を付けること⑤緊急時には電源を切っても状態を保持できる機能を備えること 執刀医が手術器具を持つ手や足の踏ん張り、モニターを見る頭などの動作を解析して、手術を進めながらも、ロボットを簡易に操作できるよう、手の指先で操作できるスイッチや、手元や足元に操作デバイスを置いて動作を制御できる仕組みも開発しました。当初は重量が40〜50キロ近くありましたが、現在では2キロと1人で持ち運びできるほどコンパクトになりました。 この研究は、国立がん研究センター東病院大腸外科や京都大大学院医学研究科、東京女子医科大先端生命医科学研究所と連携して取り組んでいます。患者看護師ロボット(内視鏡)(図1)鉗子ロボットを使う手術鉗子外科医正面から見た図内視鏡患者河合教授の医療ロボティクス研究室より鉗子ロボットLODEMのデモhttps://youtu.be/BLcllow-fQE耳道的内視鏡下耳科手術」という耳の穴から内視鏡を入れて行う手術を支援するのが目的です。従来の手術では、医師が左手で内視鏡を持って耳の穴から挿入し、モニターに映る画像を見ながら、内視鏡の隙間から器具を差し入れて手術していました。私たちはロボットに内視鏡を保持させて、医師が両手を使って手術できるようにしたいと考えました。現在は試作を重ねている段階で、以下の3点を備えたシステムを考案しています。①耳の穴に入れていない時には自在に動かせるようマニュアル操作を可能にする②耳の穴に入れた時はモーターにより精密な動きを取る③内視鏡が外耳の奥の内耳まで誤って侵入しない仕組みにする河合研究室で開発している鉗子ロボット医師(図2)内視鏡ロボットを使う耳の手術

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