イデア アール ラボ 常翔学園の設置学校に在籍する学生、生徒、教職員が各界の一流人と語り合う「クロストーク」。第11回のゲストは、岡山県倉敷市で廃材をアートに生かす活動の拠点「IDEA R LAB(以下、LAB)」を主宰する大月ヒロ子さんです。広島国際大社会学科地域創生学専攻1年生の田原花菜さんと福島生琉さんが現地を訪ね、廃材の面白さや可能性、地域とつながり活動する楽しさを教えてもらいました。おおつき ・ひろこたはら・はなふくしま・いづるカラフルでシステマチックな収納は雑貨店のよう。「『これが廃材!?』と訪れた人を驚かせたい」ワークショップで制作した作品。(左から)田原さん、福島さん地域で使われないものを循環させ生かす多くの訪問者と知り合い活動に触れられることにやりがいイデア代表取締役広島国際大学 社会学科1年広島国際大学 社会学科1年07FLOW|No.110|February, 2025●福島 本日はよろしくお願いします。将来は大好きな野球を通じてふるさとを元気にするという夢があります。地域の課題解決に貢献できる人になりたいと考え、地域創生学専攻に進学しました。●田原 絵を描いたり手芸をしたり、手を動かすことが好きです。大学の演習で昨秋、キャンパス周辺の商店街でフィールドワークを行い活性化に向けた課題を探りました。大月さんの取り組みを学び、解決の糸口にしたいと思っています。■大月 私はここ倉敷市玉島地区に生まれ育ち、東京の大学で学びました。卒業後は美術館で学芸員として働き、その後、独立して博物館の企画・運営に携わってきました。1990年前後に廃材を生かす創造的な海外の事例を多く取材し、日本でも同じような活動を広げたいと江戸時代に建てられた実家を改装して2013年にLABを開設しました。●田原 廃材とはどのようなものですか?■大月 服の端切れや畳のへり、ガスメーターのダイヤル、昔の傘に使われていた木製の部品など、地域で使われなくなったものや製造過程で出てくる廃材・端材などです。それらを企業や店からもらい受け、種類や大きさ、色別に整理・分類して、近くにある資料室「マテリアルライブラリー」にストックしています。壁一面を覆う棚は液体用ポリタンク、床に並ぶテーブルはたんすを使うなど、収納も全て廃材を活用し、探しやすく戻しやすい保管の仕方を研究しています。●福島 なぜ廃材ですか?■大月 廃材は廃棄されるものとはいえ、美しいものや魅力的なものがたくさんあり、新たな価値を持たせて生まれ変わらせることができるからです。どのようにすれば地域で循環して生かすことができるか、という実験に取り組んでいます。 活動にあたっては、「クリエイティブリユース」という考え方を大切にしています。人間の2つの創造力「クリエイティビティー」と「イマジネーション」を使って、廃材を観察します。私のお薦めは写真に撮ることです。カメラを通して上からのぞいたり、寄って細部を見たり、裏側、透かしてみる……という具合に、いろいろな角度から撮影します。すると、こんなふうに並べてみようとか、ここをくっつけると面白い、というアイデアが浮かんできます。大切なのは手を動かしながら考えることです。頭だけでは思いつかなかったことを、手が教えてくれることがあるからです。 今日は2人に作品づくりに挑戦してもらいます。ピアノを解体した部品を用意しているので、まずはよく観察してみましょう。●田原 11年間の活動から、課題は感じていますか?■大月 どのように継続していくかを常に考えています。LABを多くの人に見てもらい、公的機関が同様の場所を作るきっかけになれば大月 ヒロ子 さん×田原 花菜 さん福島 生琉 さん廃材に命吹き込む実験拠点整理・分類し創造力を刺激11
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