いもと・しょうすけしらき・しげゆき 天理戦は、「絶対に守り切る。諦めない」という全部員の強い思いが全面に表れ、チームが成長した印象的な試合でした。これまで何回も試合をしてきましたが、最も「勝ちたい」という思いが出ていました。また応援席からの声援を聞いて「応援してくれる人たちのためにも勝たないと」と思い、走る原動力になりました。でも「楽しもう」と声掛けを続けました。これは、2年時のニュージーランド遠征で現地の選手から学んだラグビーの心得です。翌年の夏の遠征を転機に試合で勝てるようになり、チームに自信が付きました。そして3年生を中心に「勝てば楽しい。楽しいラグビーをしよう」と積極的な試合を展開できるようになりました。 常翔学園高での集大成として花園で結果を残せてうれしい。このメンバーだからこそ成し遂げられました。全国3位になるまでの道のりは簡単ではありませんでしたが、どんな時 花園では、選手たちのエネルギーがみなぎり、試合を通じてどんどん強く、そして大きく成長する姿が見られました。夏の遠征を機に井本主将を中心に、チームに一体感が芽生え始めました。天理戦は、常翔らしいプレーと選手の諦めない気持ちから勝利をつかみとった印象的な試合です。明るく素直で、自主運営力がある3年生だったからこそ、全力を出し切れたと思います。 これまで部員一人一人とコミュニケーションを密に取ることを常に心掛け、試合当日には、緊張を和らげるためにウォーミングアップをしながら声を出すよう伝えました。私が現役時代に実践していたことです。次の目標は全国制覇です。そのために全国大会終了後、新チームでの練習をすぐに開始。勝つためには今のチームを超えなければなりません。1、2年生も、花園を通じて全国で求められるプレーを間近で学べたと思います。チームを導いてくれた3年生には、感謝の気持ちとして「ありがとう」の一言に尽きます。(出場は計42回、通算103勝)February, 2025|No.110|FLOW全国高校ラグビー大会これまでの戦績5回優勝3位準優勝2回15回ベスト89回ベスト164回第104回全国高校ラグビーフットボール大会が12月27日〜1月7日、東大阪市花園ラグビー場で開催され、常翔学園高は5大会ぶりの全国3位(ベスト4)に輝きました。初戦となる2回戦は圧勝。その後の3試合はいずれも激しい攻防が終盤まで続く展開で、常翔は持ち前の粘りのプレーを随所で発揮していました。2大会ぶり42回目の出場。一昨年11月に指導体制が一新され、OBの白木繁之監督率いる選手たちは、過去5回の優勝と、全国で3校しか成し遂げていない「花園100勝」を誇る伝統を背負い試合に臨みました。初戦の高知中央高(高知)との2回戦は攻守に圧倒。WTB藤間悠太選手のハットトリックなど、計10人が13トライを奪い、81−14と大勝しました。Bシード対決となった天理高(奈良)との3回戦。前半は相手の先制トライで苦しい展開が続きましたが、同29分にSH元橋直海選手がトライし、FB松井成悟選手のコンバージョンキックも決まり逆転。ロスタイムにもWTB正脇俊輔選手がトライを決めました。後半はロスタイムに自陣5メートルラインまで攻め込まれるなどピンチもありましたが、17−10と守り抜きました。スクラムからチャンスを作る場面が光り、FWが苦しい練習を重ねた成果を大舞台で開花させました。準々決勝の大分東明高(大分)戦は、前半2分にNO8井本章介主将のトライで先制するも、その後は相手が3トライ。7点を追う展開でスタートした後半では、同1分に井本主将のトライ、同9分に正脇選手のトライで逆転すると、相手の猛攻には体を張って対抗して24−19で逃げ切りました。準決勝は東海大大阪仰星高(大阪第2)との大阪対決。共に主導権を握り切れない展開が続きましたが、後半中盤からは相手がトライを重ね、一時は17点差となりました。それでも後半29分にCTB立花幹太選手、ロスタイムにも元橋選手が連続でトライを決め26−29と3点差に迫りました。しかし、ここでノーサイド。惜敗はしましたが、最後まで諦めない常翔の懸命なプレーには、スタンドの学園関係者をはじめ多くのラグビーファンから大きな拍手が送られました。NZで学んだ「楽しむラグビー」積極的な試合展開に成果井本 章介主将(NO8)=3年チーム一丸の諦めないプレー花園の舞台で大きく成長白木 繁之監督TOPInterview02激しい攻防を粘り粘って勝ち進む
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