常翔学園FLOW107号
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 学園理事会は、常翔学園中学・高校校長、常翔啓光学園中学・高校校長の任期が2024年3月31日に満了するのを受け、常翔学園中学・高校校長に田代浩和氏、常翔啓光学園中学・高校校長に山田長正氏をそれぞれ再任しました。任期はいずれも2年です。新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行したことに伴い、両校は共に海外とのリアルな交流を生かしたグローバル教育を充実させていきます。両校長に今後の取り組みなどについて伺いました。校 長山田 長正多様な出会いの場を用意生徒自らが将来切り開く力を育てたい教員になって2年目に初めて担任を持ちました。当時の本校は男子校で、高校2年の45人は年齢が近く友達のように思われていました。この時の生徒は今でも私を「山田君」と呼びます。ラグビー部が全国大会で初優勝し、クラスには試合に出た生徒もいました。修学旅行では私がカラオケ大会や花火大会、文化祭では模擬店も企画しました。元気過ぎる生徒の指導は大変でしたが、本当に楽しかったです。04■3期目のかじ取りを任されました 校長に就任してからの3年間は判断することの連続で、思った以上のプレッシャーでした。それでも、生徒たちの顔を見るとほっとして、楽しみながら学校運営に取り組んできました。教育の3本柱「グローバル教育」「キャリアデザイン教育」「21世紀型教育」を更に深め、本校の魅力を多くの人に感じてもらえるよう取り組んでいきます。■教育の3本柱について詳しく教えてください グローバル教育では、海外留学やインターンシッププログラム、ネイティブスピーカーによる授業など、生きた英語に触れる機会を増やしています。語学力を磨くだけでなく、国際感覚や異文化理解を深めることも大切にしています。コロナ禍に休止していた留学を昨年度から再開しました。中学生がニュージーランド、高校生がオーストラリアに行ったのを皮切りに、姉妹校提携している韓国の女子高にも生徒が行き来しました。韓国の生徒が英語も日本語も流ちょうに話すのを見て、本校の生徒が「自分の語学レベルでは世界に通用しないかも」と危機感を覚えていました。学ぶ意欲が生まれた瞬間です。世界を知る環境を作り、生徒に刺激を与えていきます。キャリアデザイン教育は、学園内大学の学部・学科で実際に授業を受けるなど、学園のスケールメリットを最大限に生かした多彩な学習や体験を用意しています。昨年4月、高校2年のクラスに摂南大の文系学部進学を基本とするクラスを新設しました。摂南大で講義を受けてレポートを提出したり、大学生に交じって韓国留学プログラムに参加したりすると単位を取得でき、入学後には認定もされます。プレゼンテーション力や問題解決力を伸ばし、大学で必要となる自ら求めて学ぶ姿勢を入学前から育てます。 21世紀型教育は、企業から与えられたミッションに高校生の視点で挑みます。優れたアイデアを出し、全国大会で優秀な成績を残すこともできました。企業で働く人から高い評価も受け、生徒たちは自信をつけました。活動を通じて将来の夢が見つかり、その実現に向けて進学先の大学を決めた生徒もいます。■生徒の大学合格実績が好調です 今春の大学合格実績は、国公立大62人(うち既卒4人)、関関同立133人(同2人)と、開校以来最多の結果となりました。進路指導の変化が数字に表れていると思います。数年前までは生徒の関心に合わせて「〇〇大学〇〇学部はどうか」などと提案していました。教育の3本柱を展開してからは、生徒が普段から将来像をしっかり考えるようになったので、自らが率先してやりたいことを学べる場を見つけてくるようになりました。教員が安全に合格できる進路を示しても、生徒が志望を貫きたいと頑張り、結果も出しています。精神面の成長は本当に喜ばしいことだと感じています。また、海外の大学に進学を希望する生徒も増えてきました。本校は台湾の大学7校と連携しており、2023年に1人、今春も3人が進学を希望しました。生徒にさまざまな体験や冒険をさせて、のびしろを増やしていきたいと思っています。常翔啓光学園中学校・高等学校やまだ・ながまさ ■1983年啓光学園高校普通科卒。88年関西大学文学部英文学科卒。同大学事務職員を経て、90年啓光学園中高(現・常翔啓光学園中高)英語科教諭に。進路指導部長、教頭などを歴任し、2021年4月から現職。校長3期目。学園理事。愛読書は沢木耕太郎の『深夜特急』May, 2024|No.107|FLOW模擬店でのパイナップル販売(中央奥の紫のシャツが本人)=1992年9月教員人生における思い出

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