■とくもり・きみひこ 1998年YMCA米子医療福祉専門学校理学療法士科卒。2006年岡山大学大学院医歯学総合研究科(現:医歯薬学総合研究科)修士課程修了。2011年医歯薬学総合研究科博士課程修了。沼隈病院などを経て、2006年広島国際大学保健医療学部理学療法学科助手。2019年から現職。博士(医学)。理学療法士。広島県出身。広島国際大学総合リハビリテーション学部 リハビリテーション学科テーション学部 リリハビリテーシーシシシシシション学ョン学ョン学学ン学ョン学ョョンョンョョョョョョョョン学ン学ン学学学学ン学ン学学学科科科科科科科科科科科科科科科10May, 2024|No.107|FLOW授は「心拍数が120拍前後。例えば軽いジョギングを10分以上」とします。ただし、西脇准教授のこれまでの研究で、ストレッチのような軽い運動でも改善に効果があることが分かってきました。健康な中年男性を対象に、30分かけて全身の主要な筋肉を動かすストレッチを週5回、4週間実施したところ、動脈硬化の軽減が確認できました。体を折り曲げた時に動脈が圧迫され、伸ばした時に勢いよく血液が流れることから、血管の内皮細胞が刺激を受け、管の拡張に作用していると考えられます。 体の柔軟性と動脈の硬さの関係についても調べたところ、男性と高齢女性では体が柔らかいと動脈も柔らかいという相関がありましたが、若年・中年女性には相関は見られませんでした。女性ホルモンには血管拡張作 岡山大学大学院(公衆衛生学教室)で関節痛と気候の関係におけるおける疫学的研究で博士号を取った徳森准教授は、広島国際大では東広島市広島市や東広島市社会福祉協議会と連携し高齢者のフレイル予防など理学療理学療法の専門的知見を分かりやすく住民に広める活動に力を注いでいます。ます。2015年からキャンパス地元の黒瀬地区での65歳以上の住民向け民向け健康教室を皮切りに、家族介護教室、体力測定会、いきいき健康フェアなどに発展させました。2020年には市と大学と社会福祉協議会で構成している連絡協議会でフレイル予防プロジェクトを提案し、まずは同地区をモデル地区としてプロジェクトが始まりました。フレイルとは「高齢者が要介護状態に至る直前の状態」のことですが、高齢化率の上昇と国民医療費の膨らみ続ける我が国において高齢者の介護予防・フレイルの改善は大きな課題です。徳森准教授らは、プロジェクトとしてまずフレイルの認知を高めるフレイルサポーター養成講座を黒瀬地区内で複数回開催。そのノウハウを生かして翌年からは東広島市全域に拡大しました。22、23年には将来的に介護予防におけるリーダーとなる地域住民を発掘・育成する目的でフレイル予防アドバイザー育成講座を開催しました。これまでにフレイル予防アドバイザーは103人、フレイルサポーターは1600人を超えました。広島県内ではほとんどの市で要支援・要介護認定率が上昇し続けていますが、東広島市は横ばいです。徐々にプロジェクトの効果が出ているのかもしれません。またこの取り組みは厚労省のホームページで自治体の取り組みの先進事例(10市町村)として紹介されています。更にこの間、徳森准教授らは身体用のあるエストロゲンが含まれていることから、女性ホルモンが減少する閉経後の女性は意識的に運動することの必要性が感じられました。 動脈の硬さの測定には、上腕と足首にカフ(加圧帯)を巻き、脈の波が伝わるスピード「脈波伝播速度(PWV)」の計測や、エコーで頸動脈の血管幅を確認しながら血圧の変化をみる方法があり、運動前後で数値を比較しています。 この他、食べ物による動脈硬化の軽減には、ポリフェノールが多く含まれる高カカオチョコレートや、中央アジアのキルギス共和国産のはちみつに効果があることを確認しました。効果検証をきっかけに、このはちみつを「大阪工業大学はちみつ」として梅田キャンパス1階ストアでも販売しています。 今後取り組みたいことは、動脈硬化と体質の関係に遺伝子情報からアプローチすることです。新型コロナウイルス感染症をきっかけに、唾液を使うPCR検査が一般に浸透して、検体への協力が得やすい環境が整っていると期待しています。「動脈は体の隅々に栄養を送り出す基本となる器官。さまざまな角度から研究を続けていきます」的フレイルと違って認知的フレイルには、運動習慣の有無以外に「地域的フレイルと違って認知的フレイルには、運動習活動なし」が影響することを住民アンケート調査の分析で示し、研究活動なし」が影響することを住民アンケト調でも成果(筆頭著者:広島国際大学 松浦晃宏准教授)を上げています。 地域活動では、2017年から黒瀬地区で高齢者の通いの場である「お茶の間サロン『やまぶき』」の開設・運営に携わってきました。「週1回でも家から外に出る習慣ができます。楽しくわいわいするだけでも、友達ができ活動や刺激量が増えるのです。孤独感は認知症を進めますが、人とのつながりは安心感や満足感を生みます。サロンが昔の井戸端会議のような場になればと考えています」。厚労省が進める地域包括ケアシステムでうたわれる「自助、互助、共助、公助」の4つの視点のうち、特に「互助」の推進にサロン活動が役立つと感じています。徳森准教授の今の夢は、年齢、障害、性別、国籍の垣根なく誰もが1日中安心して過ごせる居場所作り。「コミュニティーをリハビリする拠点です。普通、理学療法士は障害を治すことが専門ですが、私は障害があっても生きやすいインクルーシブ社会の実現を後押ししたいのです」PWV計測の様子フレイル予防アドバイザー育成講座の様子今年は4年に一度のオリンピックイヤーです。スポーツは競う面白さもありますが、親しみ方は人それぞれです。今回の「JOSHO FRONTIER−研究最前線−」ではスポーツと健康を切り口に、健やかな血管を維持するための運動手法、マスターズスポーツの魅力に迫る実践、高齢者のフレイル予防に向けた先進的な取り組みについて、学園3大学の研究者を紹介します。徳森 公彦准教授森 公公彦彦彦彦准教准教准教授授授市と連携し先進的なフレイル予防高齢者サロンで地域の互助も推進
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