常翔学園FLOW106号
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声をじかに聞いて世の中に発信したいという思いが芽生えました。そこで4年生の時に医療系学生団体を設立。中平さんと同じようにさまざまな思いを持った医療系学部の学生が全国から集まって活動しています。主な活動は、月に一度、特定の疾患について勉強会を実施したり、闘病経験のある人から医療従事者に対する思いを聞く機会を作ったりすることです。中でも一番心に残っているのは「患者さんの『やりたい』を育む医療従事者になってほしい」という言葉です。「自分も闘病を経験したからこそ、患者さん1人1人の生き方や背景に寄り添った薬剤師でありたいと思います」 そんな中平さんは4月から北里大学病院で夢への一歩を踏み出します。働きながら研修を受け、資質を向上させる薬剤師レジデント制度を利用しての就職です。最初の2年間は医師に帯同したり全病棟を回った団体の活動で乳がん経験者の話をオンラインで聞いたりして幅広い知識と高度な技能の習得に努めます。この制度を勧めてくれたのは、コミュニティーを通して知り合った現役の医療従事者でした。将来がん専門の薬剤師になるなら、同制度を使って学んだほうがいいと教えてくれたのです。それだけに後輩たちには、自分の考えを話せる人を数人でも構わないので作ってほしいと言います。「他人に夢を語ったことで私は世界が広がりました。ためらいはあるかもしれませんが勇気を持って話してみてください。今いる場所からきっと一歩前進します」。中平さんならではのエールです。自身の経験から、がん専門の薬剤師を志す中平さん。今春から北里大学病院で夢に向かって歩み出します。自分の夢や目標を口に出し他人に伝えたことで世界が広がり道を切り開くことができました。後輩たちには、勇気を持って何でも誰かに話してみてほしいと言います。医療系学生団体を設立し、患者やその家族と医療従事者・医療系学生をつなぐとともにその思いを届ける活動を行っている中平さん。実は自身も幼い頃に病気に罹患し、長期間の闘病生活を経験しました。薬の副作用で日常生活に大きな影響が生じたと同時に、その悩みを誰にも打ち明けられない苦しみがありました。そんな経験から、闘病仲間や医療従事者との出会いを通して、自身と同じように病気と闘う人を助けたい、中でも抗がん剤や副作用について勉強したいと思い広島国際大の薬学科に入学しました。しかし最初は、自分の夢を口にすることにためらいがありました。公言して、夢がかなわなかったらと思うと怖かったからです。 転機となったのは3年生の時です。同じことを繰り返す毎日に物足りなさを感じ、医療従事者や医療系学生が集うコミュニティーに参加し始めました。そこで「自分の夢は口に出すことで実現に近づく」と言われたのです。夢を語れるようになると、いろんな人から紹介を受けるようになりました。さまざまな人とかかわるうちに将来のビジョンが具体的になり、実現のためには闘病経験のある人のなかひら・ようこ北里大学病院 内定広島国際大学 薬学科6年りかん03FLOW|No.106|February, 2024医療系学生団体の経験生かし夢は患者に寄りそうがん専門薬剤師中平 瑛子 さん

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