常翔学園FLOW106号
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食品栄養学科の1期生として入学した枦木さんですが、最初は苦労の連続でした。新型コロナウイルス感染拡大防止のため入学宣誓式や各行事が中止され授業はオンラインになったためです。友達作りはもちろん学習の進め方にも不安がありました。それだけに、実験・実習のため週に2、3度登校する日が楽しみだったといいます。2年生に進級してからは対面授業がスタートし大学へ通う日々が始まりました。実家のある滋賀県からの通学は片道約2時間かかりましたが、いろんなことに挑戦したいという思いから、アルバイトを3つ掛け持ったり食品開発サークルに入ったり精力的に活動しました。特に思い出深いのは、キャンパスのある枚方市の特産であるスモモを使ったサイダー「すももちゃんサイダー」のプロジェクトチームに入り開発したことです。 開発プロジェクトは、農学部と枚方市が2021年3月に包括連携協定を締結したのをきっかけに始まりました。原料は、同市杉北町にある山口農園で栽培されたスモモ約355kgです。枦木さんは主に、搾汁に加えるブドウ糖液や炭酸などの調合を担当しました。すももちゃんサイダーを改良試作する様子その時最も大切にしていたのは顔を合わせて対話することです。「その人が持つ言葉の温度感や感情はメッセージアプリなどのデジタルツールでは伝わりきらない」と考えたからです。試行錯誤の末にサイダーは2021年秋に完成しました。学内のコンビニエンスストアで発売され、翌年には同市のふるさと納税の返礼品になりました。サイダーはその後も毎年製造しています。 春からは雪印メグミルクで新生活をスタートさせます。就職活動では、高校生の頃から食品開発の仕事がしたいと思っていたこともあり、気になる企業は片っ端から応募しまし酸味と甘みのバランスを取るのが非常に難しかったといいます。また、メンバーそれぞれに異なる意見をまとめるのにも苦労しました。枚方ファミリーフェスタですももちゃんサイダーを販売(中央が枦木さん)た。「エントリーしなければ受かるものも受からない」というチャレンジ精神からです。苦戦して、不採用の文字を見るたび悲しい気持ちになりましたが、落ち込む時は期間を決めて、その後は意識的に気持ちを切り替えることで乗り切りました。雪印メグミルクの内定獲得は難しいと感じていただけに、採用の電話が来た時は思わず涙したといいます。 そんな枦木さんが後輩に伝えたいことは、失敗を恐れず挑戦することです。「失敗した時はつらいかもしれませんが時間がたてば笑い話にできます。結果がどうであれ挑戦したという経験と過程が自分の糧になり、どこかで必ず花開きます」。枦木さんからの熱いエールです。今春、学園全体で約6800人が卒業・修了し、新たな第一歩を踏み出します。コロナ禍でさまざまな制限があった中でも前向きに努力を続けた先輩たちから後輩へ「エール」を送ってもらいました。学業やサークル活動の他アルバイトも掛け持ちし大学4年間を精力的に駆け抜けた枦木さんは、今春から雪印メグミルクで社会人生活をスタートさせます。学生生活ではさまざまなことに挑戦し数々の経験を積んだからこそ、後輩には失敗を恐れず何事にも挑戦してほしいと話します。はしのき・ゆうな雪印メグミルク 内定摂南大学 食品栄養学科4年02February, 2024|No.106|FLOW試行錯誤し開発したすももちゃんサイダー果敢に挑んだ就活で内定勝ち取る枦木 優奈 さん

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