常翔学園FLOW106号
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漕艇部の活動でボートをこぐ藪さん この装置では主に、人間が歩行する時に発生する床反力に近似したデータを計測します。床反力とは、人から床や地面にかかる力の反力のことで、人が立ったり歩いたりする高校からボート競技に打ち込んでいた藪さん。大学でも迷わず漕艇部に入りました。朝4時半に起床し練習してから授業を受け、夕刻再びボートに乗る生活はハードでしたが、くじけることなく練習を積み重ね、第5回西日本選手権競漕大会(男子シングルスカル)で優勝を果たしました。一方で、大学生活のテーマは文武両道と決めており、研究は腰を据えて取り組もうと博士課程を視野に入れ、学部4年生の時に歩行分析ができる装置の開発に着手しました。際に発生する力です。床反力を測定すれば、左右どちらかの足を引きずっていたり、体重がかかりすぎていたりするなど、目視だけでは分からないバランスや動きの異常に気付くことができます。この情報は、手術後の経過観察やリハビリなどに役立てられます。しかし、流通している床反力の測定機器は高額です。そこで藪さんは、人間が歩行する時に生じる前後左右及び鉛直(水平面に対して垂直の方向)の力を計測するセンサーを取り付けたカーボンインソールを製作。市販の靴に敷いて歩くことで床反力に近似した数値を計測できるようにしました。計測値はBluetooth■でパソコンなどの端末に送信されます。無線通信やプログラムといったシステムや人体の仕組みなど、この研究をきっかけに一から勉強することも多く苦労もしましたが、「最後まで諦めない大切さを改めて学びました」と振り返ります。 仲間と一糸乱れぬ動きでボートをこぎゴールに向かう漕艇部の活動で身についた、チー文武両道を大学生活の目標に掲げ、研究と部活動に情熱を注いだ藪さん。苦労もありましたが、最後までやり切る姿勢を貫き、学業でも部活動でも表彰状を手にすることができました。大阪工大の6年間で積み上げた経験を糧に、春からは村田製作所で新たな挑戦へと踏み出します。ムとしての「和」を重視する姿勢や、研究を通して培った、苦労を重ねても諦めることなく最後までやり抜く力は、就職活動でも生きました。2社のインターンシップに参加したところ、いずれの企業からも、皆で協力して1つの目標に向かうようグループをまとめた点と、主体性を持ち最後までやり遂げた点を高く評価されたのです。そのうちの1社、村田製作所は最先端の技術や製品に携わる機会が多いと感じ、入社を決めました。藪さんの夢は、同社で将来性のある製品に使われる部品の研究や開発に取り組むことです。 そんな藪さんは後輩たちに、何事にも挑戦してほしいと言います。「しんどい思いをしたり『やっぱりやらなきゃよかった』と後悔したりしても、最後までやり抜いてください。いつかきっと自分の糧になります」。文武両道を体現した藪さんからのエールです。そうていゆかはんりょくえんちょくやぶ・そうやカーボンインソール(左)。市販の靴に装備可能(右)村田製作所 内定大阪工業大学大学院ロボティクス&デザイン工学専攻 博士前期課程2年01FLOW|No.106|February, 2024巻頭特集研究も部活動も手を抜かない就活で評価された協調性と主体性新卒生からの「エール」藪 颯也 さん

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