常翔学園FLOW105号
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NO.Could you please teach me? 摂南大学農学部 食品栄養学科吉井 英文教授13FLOW|No.105|November, 2023昇華利用する凍結乾燥細かい霧作る噴霧乾燥ばいせん 3大学2中高を設置する本学園のスケールメリットを生かして、高校生が日ごろふと抱く疑問を大学の先生に答えてもらう「教えて先生」。今回は、常翔啓光学園高2年の渋谷優斗さんと西川泰生さんが、摂南大農学部食品栄養学科の吉井英文教授に尋ねました。渋谷、西川 インスタントコーヒーやカップスープ、プロテインなど、粉状の食品は身近にありますが、どのように製造しているのでしょうか?吉井 簡単に言えば、食品に含まれている水分を飛ばして作っています。 インスタントコーヒーを例に説明しましょう。今日は2種類用意しました。粗い粒々が凍結乾燥(フリーズドライ)、サラサラの粉は噴霧乾燥(スプレードライ)という製法で作ったものです。原料となるコーヒー液は、コーヒー豆を焙煎して砕き、熱湯を注いで抽出した後、でんぷん成分を入れて作っています。 凍結乾燥では、このコーヒー液をマイナス40℃ぐらいで凍らせます。凍ったら細かく砕いてから真空状態に置きます。すると、氷の結晶部分が水蒸気に変化して、乾燥したものが粉になります。粉を電子顕微鏡で撮影したものが(写真1)です。氷の結晶のあったところが細かい穴になっているのが分かりますか。中学の理科で物質の状態変化を学習していますね。固体が液体になる「融解」、液体が気体になる「蒸発」、固体から気体になるのが「昇華」です(図)。水は0℃で氷になり、100℃で沸騰して水蒸気に変化します。しかし、気圧が下がると沸点が下がるので、真空状態では氷が水にならずに直接水蒸気に変化します。この昇華を利用したのが凍結乾燥です。続いて噴霧乾燥の製法を説明しましょう。噴霧乾燥機というサイロのような機械を使います(写真に写っている水色の機械)。中には回転する円盤型ノズルがあります。液体を数十から数百μm(マイクロ02教えて先生食品に含まれる水分を飛ばしています。A.粉状の食品はどのように製造しているの?Q.

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