無●文章を0から11FLOW|No.105|November, 2023学生は慎重に向き合い効果的に活用文書作成における生成AI使用の有無に関するメリット・デメリット 自分で調べて書く力がつく 使うことを前提に新たな課題の用意を文書作成科目で生成AIの活用を想定した際のレポート作成時間と完成度のイメージ十分な推敲時間を確保可能生成AIの活用により、授業の本質である執筆時間を多く確保生成AIを活用テーマ設定・調査に苦戦有完成度推敲フェーズ執筆フェーズテーマ 設定・調査フェーズmachines,especially intelligent computer programs(知的な機械、特に、知的なコンピュータープログラムを作る科学と技術)」と定義されました。AIは大量のデータをあらかじめ与えて特徴や傾向を学習させ、入力データに対して認識、識別、予測、分類などを行うことが主な用途です。文字認識や画像認識、需要予測などに使われています。 一方、生成AIは、入力されたテキストを解析して、学習している大量のテキストや画像データを基に新しいテキストや画像を生成します。テキストを生成するChatGPTや画像を生成するStable Diffusionをはじめ、プログラミングや音楽作成、事務処理など多岐にわたる生成AIが登場しています。 今回のワークショップでは、最初に教員4人がそれぞれ担当する共通科目、文書作成科目、専門科目、プログラミング科目における生成AIの活用法や向き合い方について発表しました。例えば、文書作成の授業においては、最初のテーマ選択や調査に時間がかかるため、その部分を生成AIにサポートしてもらうことで、授業の目的でもある「文書作成」に集中する時間をより多く確保できるようになるかもしれません。プログラミングでは、課題の作例を生成AIで作成して、初学者や初心者がヒントを得られる使い方もできます。生成AIを効果的に活用することで、授業の本質部分に重点的に時間をかけられるようになると考えられます。 次に、学生たちの発表では、テスト勉強に向けての問題作成に使用したり、自分で作成した英文の構文チェックに活用したり、ハッカソン(ソフトウエア開発に携わる人が集まって、短期間に集中して開発するイベント)や個人開発におけるアイデア出しの相談相手として利用するなど、多様な用途で興味深い活用をしていました。一般には、授業における生成AIの利用方法として、レポートなどを生成AIに任せてしまい成長につながらないのではといった否定的なイメージで捉えられることが少なくありません。しかし、学生たちは、生成AIに慎重に向き合い、自己成長を促すような効果的な使い方をしていることが分かりました。 発表後のディスカッションでは、生成AIを使うことで深く勉強するためのヒントが得られるなど、自主学習に大きな支援になるという意見が出ました。その一方で、人とのコミュニケーションを減少させるのではないかという懸念も上がりました。また、学生たちは「生成AIをどの程度まで使っていいのか」についても不安を感じており、ルール作りやリテラシー教育の必要性を感じました。 ワークショップを開催して、いくつかの重要な気づきがありました。学生と教員の発表から、科目ごとに生成AIの活用方法が異なることが明らかになりました。各科目をより良い授業に構築するためには、生成AIの使い方をそれぞれの科目で考えていくことが必要であることが分かりました。生成AIを使うことを前提にした新たな課題も考えていかねばなりません。レポート提出締切生成AI 有生成AI 無時間メリットデメリット●アイデア出しの部分を支援してくれる●語彙(ごい)・表現が増える●批判的思考力・分析的思考力がつく●推敲(すいこう)に時間を使える●生産性が上がる●生成AIに任せて 考えなくなるかもしれない ●0から調べるため、 ライティングにかける時間が減る ●アイデアが出ずに困る 時間内での十分な執筆・推敲が困難
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