ニューウェーブ09FLOW|No.105|November, 2023大阪工業大学 情報科学部 ネットワークデザイン学科コロナの経験踏まえ学生と教員で共創をかしはら・しげる ■奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科博士後期課程修了。同大学院先端科学技術研究科助教、カリフォルニア大学ロサンゼルス校客員研究員などを経て、2020年から現職。博士(工学)。 私の研究室では、サイバー空間(インターネット)と現実世界が高度に融合していく中で、情報科学技術がどのように人間中心の社会(Society5.0)や持続可能な開発目標(SDGs)に貢献できるかを研究しています。新しい技術の開発だけでなく、その効果的な使い方などにも焦点を当てています。 一例を挙げると、消防防災活動にドローンを使って上空から取得したスマートフォンの電波情報や撮影した画像を分析する捜索活動の効率化へ向けた研究、消防局におけるドローン操縦者の育成、IoTやAIを活用した高級食材のワタリガニの養殖、エディブルフラワー(食用の花)の栽培支援などに取り組んでいます。新たな情報科学技術には強い関心を持っていますので、2022年11月にChatGPTが公開されるとすぐに試してみました。テキストで質問してみると、あたかも対話しているかのようにテキストの答えが返ってきました。「あぁ、世界はより大きく速く変わっていく」と衝撃を受けました。【ChatGPT】アメリカのベンチャー企業「オープンAI」が開発した対話形式の生成AIで、2022年11月に公開された。ユーザー数は公開から2カ月で1億人を突破。質問への回答、物語やエッセーといった文章作成、言語の翻訳、企画書の作成、プログラミング、表作成、ディスカッションや議論などができる。更に開発が進み、多くのことができるようになってきている。教育・研究 ChatGPTの登場により生成AI(人工知能)への関心が世界的に高まっています。未来社会を大きく変える存在として期待される一方、誤った使い方への警鐘も相次いでいます。そんな中、大阪工大ネットワークデザイン学科は7月5日、生成AIの活用について学生と教員で考えるワークショップを開催して、活用の実態や懸念などを明るみにした上で、これからの使い方を探りました。このワークショップを企画したのが同学科の樫原茂准教授です。開催の狙いや気づき、教育現場が生成AIとどのように向き合っていけばよいのかを語ってもらいました。なお、生成AIは日々新たな進展があり、社会も変化しています。今回の内容はインタビューをした2023年9月時点の意見で、それ以降の状況によってはその意見は変わることが前提となっています。樫原 茂准教授生成AIと、
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