常翔学園FLOW104号
9/20

08August, 2023|No.104|FLOW 災害看護という言葉は、まだ一般にはなじみが薄いかもしれません。日本災害看護学会では、「災害に関する看護独自の知識や技術を体系的にかつ柔軟に用いるとともに、他の専門分野と協力して、災害の及ぼす生命や健康生活への被害を極力少なくするための活動を展開すること」と定義しています。災害発生時だけでなく、災害前の備えや、発生後に人々の生活が元通りになるまでの期間が対象で、人々に加え、コミュニティーや社会の支援も含んでいます。 災害看護が注目されるきっかけは、1995年の阪神・淡路大震災でした。それまでにも災害が起きれば、日本赤十字社などが救援活動をしていましたが、もっと看護界全体で、災害看護学の「知識」を体系化する必要があるという認識が広がったのです。そして1998年、日本災害看護学会が設立され、学問として研究されるようになりました。いのちきっかけは阪神・淡路大震災 近年、地球温暖化の影響により、豪雨災害が頻発し、激甚化もするようになりました。更に、南海トラフ地震や首都直下型地震といった大規模地震が発生する確率は、今後30年以内に7割ともされ、未来を描くうえで防災や減災への意識が欠かせません。災害では、直後の対応はもちろんのこと、中長期的な視点での地域復興や被災者支援が大切になります。役割の1つに現場での看護があります。阪神・淡路大震災をきっかけに研究が始まった災害看護について、どのような取り組みや思いがあるのか、海外での被災地支援の経験を持ち、国内では被災者の健康管理や生活支援に役立つ手帳を開発している広島国際大看護学科の宮本純子准教授に聞きました。

元のページ  ../index.html#9

このブックを見る